創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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視点 おむふ
青く染まりし清冽な水。それこそが海であろう。いや、青のみならず、清澄な緑。ときとしてくすんだ茜。多くの神秘が逗留した聖域ともいえるものこそが海である。多様な生態系がつちかわれる一方、生物をしいたげているかのような残忍な節もある。 海には神楽が常としているのであろうか。そう思わせるほどに華やいでいる。だが、その華やかさは侘しくしかし鮮烈に染まった大輪の花のごとしといったおだやかなものではない。海の生物は戦いを生業とし終夜争いに興じているのだ。なんらかの戦う術を纏い、己の身を守るがために他者をほうむっているのだ。海は多くの意味で豊麗であるのだ。山紫水明に生きる生物とは違ったものを宿しているのが海の生き物。彼らは小夜嵐のなか、侘しくたてられた灯籠なのだ。
だが、上のような殺伐としたもののみが海のすべてではなかろう。そう、上の見方は絶対的なもののみかたである。相対的に第三者の目でみてみると案外海もほほえましい一面があるものだ。共生といったものがある。読んで字のごとく、共に生きることを意味している。どういった生物の間に必ずしも軋轢があるわけではない。先に述べたような火照る灯籠のごとき境地にあるのが生物である。しかしながらこの灯籠をいぶらそうとする旋風を互いにふせぎあい生きる生物とているのだ。その中に藻と珊瑚がある。えもいわれぬ色を羽織り岩壁にて腰を据えるものこそまさに珊瑚である。だが、この珊瑚とて身動きはとれないものの動物である。すなわち植物と同様に光合成にて養分を得ることは不可能なのだ。それ故に藻を自分の体に住まわせ、その代償といってはなんだが藻が光合成で得た養分をもらいうけているのだ。だが藻とて損をしているわけではない。もともと不安定であるのだから珊瑚の屈強な血肉に居を構えることができるというのも多大な幸運である。こういった共生のようなものは相対的な視点でなくては分かりがたいものである。
だが絶対的なみかたとて重宝すべきである。相対的な見方にたいしてはうなずけるものの絶対的な見方をもたずしては惨憺たるものを呈することがある。ねずみ色をわずかに忍ばせた闇夜の空がたれこむ時分。かぼそく貧弱にすら思われる星がまたたいている。この星は恒星と呼ばれる。この恒星、星を見れば一目で分かるであろうがおのおのに明るさが違う。「あの西にある星はあかるいのだろう。あの星は暗いのであろう。」といった按配。だがこの判断は誤りである。遠くにあるものは暗く見える。これは常識である。それゆえに宇宙一明るいほしであっても地球から宇宙一遠くに位置していたらかなり暗く見えてしまうものである。だが、天文学の分野での絶対等級という絶対的な視点からすると星の本来の明るさがもののみごとに分かるのだ。
こういったように相対的、絶対的双方とも絶大に輝く面もあれば恥ずかしい泣き所とてある。物を見る際どちらか一つに定めるというのもおろかであろう。二つの視点でよく観察する。それこそが最良なのではなかろうか。
講評 koni
清書ができました。読解問題も頑張りました。
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