国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   勝負   おむふ

 永遠の都。世界のどの道も全てがここに通ずるといわれる帝国。ローマである。彼の地ローマは走馬灯のごときものである。ほのかに歴史が火照り侘しさと華やいだ旋律とが出られた地。その歴史が宿るものとしてコロッセオがある。これは淡く端正な光沢を帯びし遺跡といったようなものではない。死をつかさどる死神が集う場ともいおうか。コロッセオとは古代のあかつきにそびえた闘技場である。罪人、奴隷達がおもむく場末は薄暗き路傍であったのだろうか。いや、一握りの者たちはこのコロッセオに馳せ参じたのだ。このコロッセオにてあったのは今で言うサーカスのようなものであったのだろうか。火の輪くぐり、調教どれも残忍なものであろう。はたまた、彼らを鞭でうちそのおぞましい一興にひたるものであったのだろうか。どれも違う。殺し合いである。コロッセオとは実のところ娯楽施設のようなものである。人と人。または人と猛獣などの戦いを観戦する民のためのものなどである。このコロッセオにて多くの人々に目にされ逆鱗にふれられた竜のごとく竜巻をたなびかせ闘う戦士にとってなにが重要だったのであろうか。やはり勝ちであろうか。それともなにか他の重要なものがあったのであろうか。
 当然、勝つことが何よりであろう。彼らは負けてしまっては自分の輝ける生命をうしなってしまうのである。たとえ罪人といえども命を持っていよう。負けるわけにはいかなかろう。たとえ殺し合いでなく茶飯事の和やかな勝負とて負けていいわけがない。人はだれしも誇りを身に纏いいきているものである。己を豊麗に染めるかれんな衣であろう。その衣が蚕のつむいだ白銀の絹となるか。もしくは薄汚れた衣となるか。勝負に負けてしまっては誇りを損なう。その上そのため気力までもを失うこととなる。勝ちさえすれば、共に闘う仲間とそれを祝し更なる向上ともなるだろう。
 だが勝利至上主義の饗宴にもない美しい灯明が勝負にはたたずんでいるのだ。少し前に小耳にはさんだ話である。箱根の山にてひらかれる飛翔する人々の戦い、箱根駅伝である。箱根駅伝といってもただ単に参加できるわけではない。多くの予選を通過して行き着くことのできるものなのだ。その予選をぎりぎりのところで通過したチームがあったそうだ。ここではkとよぶことにする。kは駅伝に参加しても最下位決定だろうというほどの実力であり勝利至上主義からしては参加する意義のないチームである。だが、kのメンバーはひるむことなく懸命に走ったそうだ。案の定最下位であった。しかし彼らは完走した後満面の笑みをたたえ良い思い出となったと口にしたそうである。競技に真剣に取り組むことにも多大な意義があるはずである。
 負けるより勝つほうが当然嬉しい。だが勝つことにあまりに執着するのもうなってしまうものだ。懸命に正々堂々戦う。これが勝負の本質なのではなかろうか。

   講評   koni


【構成】 四段落構成で、相反する意見を挙げて理解を示し、最後に自分の意見を主張する意見文の理想的な構成です。

【題材】 毎回感心するのですが、豊富な題材でそこに社会的な問題にもふれていながらユーモアがあり知識があり、実例の選択がすばらしいですね。今回は、特に具体的な実例なので、万人にわかりやすい。

【表現】 言うことなし。第一段落の最後に読み手に問いかけた文末もいいね。

【主題】 総合化の主題がよくできています。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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