国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   野生の知恵   おむふ

 以前、こういった話を小耳にはさんだことがある。私の竹馬の友でkという者がいる。ボーイスカウトに所属しているため、度々人が寄らぬであろう地に赴いているそうだ。青嵐吹きすさぶ淡い春の高山を訪れ、小波がおぼろげにたつ辺境の海に足を運んだとのこと。当然山にテントを構え、自給自足の三泊四日など茶飯事であるそうだ。自然の産物が賜れる豊麗な山。彼の地で必要とされるのは知恵だという。例えばだ。かまどをつくるとき。彼らは穴を掘るそうだ。火をおこすのだから清廉な空気が送り込まれる構造としなくてはならない。燃焼が起こるには次の三条件が必要とされる。一、発火点といったある一定以上の空気の温度。二、燃えるための材料(木炭、木屑、薪)。三、酸素。これを満たせばこそ朱の烈火がまきおこる。一つでも欠けては火種すらおこらない。かまど作りにはこれらが要求されるのだ。そのためスコップ一つ使うにも工夫を施さなくてはならない。できるだけ急なカーブを描くように土を掘らなくてはならない。また、風に左右されてはならないため作る場にもまた気を使う。kがかまどを作った時分は北風が無邪気なひばりのごとく吹く季節。風にかなり影響を受けやすい。酸素を送りこむため隙間が多い風通しの良いつくりにするのも重要である。このように先の三条件に見合うように己の頭で知恵を丹念に練り鋳造して初めて火がおこるのだ。これは、社会生活にも通ずる理念である。知恵を育くみ自分の拠り所すればこそ生活が成るのではなかろうか。
 だが、知恵のみならず知識情報もまた知恵をはるかにしのぐほどに役立つものである。私の友でHという大工の長男がいる。小学生のときなどは余暇が財産であったのでその富を活かして時折かれのちちのところへ数人で遊びにいっていたものだ。ここでは親しみを込めて親父さんとよぶことにする。親父さんは工学について何十年もの修練と経験、莫大な知識をもちあわせている。そのため腕も相当なものである。あるとき、親父さんの家の近くにある林で7,8人の者で親父さんと秘密基地を作ろうという企画があった。ダンボールなどを使ったとておもしろくないため林にある木などを用いて作ろうといったものである。縄のかわりは丈夫な蔓が担い、柱のかわりは太く強靭な木である。私は幼いながらもなんとか他より秀でた基地を作ろうと親父さんに負けぬ心持がむねに火照っていた。蔓の縛り方にしてもこうすれば崩れぬだろうという風に結わえていた。だがその一座の人気を博すはずの基地は基地ならぬまるみえボロ家と化していた。一方親父さんの作った基地はもののみごとに端正に鎮座していた。悔しくありながらも親父さんに自分の失態の原因を聞いてみると一番工夫をこらした縄の結わえ方に問題があったそうだ。その後親父さんに教わったとおりの結び方で基地をつくるとすこぶる丈夫なものができたのだ。神に豊潤な社をささげたような妙に神々しい気分であった。やはり、知恵に頼ってばかりいてもひとりよがりのものとなってしまう。情報、知識を駆使して生活を織り成すべきではなかろうか。
 やはり知恵と知識双方の融合こそなによりであろう。かまどの話にせよ燃焼の三条件を知識としてもっていなくてはできないことであり、縄の結び方にしても知恵があってこそできたものであるはずだ。知識を使って知恵を活かす。これが究極の流派ともいおうか。
 

   講評   koni


【構成】 「知恵」と「情報」のそれぞれの良さについて意見化することができました。

【題材】 かまど作りの話を詳細に説明できました。私達は、火を見なくても火を利用した便利な生活ができますが、その分、火の性質や働き、怖さを体が感じる機会は滅多にありません。人間は、火を管理できるようになったから人間らしくなったとは、よく言われることですが、知恵の話で、人間にとって身近でやっかいな火の実例を挙げたところがとてもいいね。
 秘密基地作りの話も臨場感があってすばらしい説明です。

【表現】 言うことなしです。「北風がむ弱にひばりのごとく吹く季節」「神に豊潤な社をささげたような妙に神々しい気分」というところが、特にすてきですね。(←個人的な感覚ですが。)

【主題】 結論で自分の意見を主張することができました。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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