国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   シベリア帰りのお爺ちゃんの恋   のんちゃん

 我が家は、古本屋をやっています。当店「杉野書店」に毎日やって来られるお客様がいます。89歳になるお爺ちゃんです。太平洋戦争の時に、ソ連軍に捕まって捕虜となり、長いことシベリアに抑留されていたそうです。それで、我が家では「シベリア帰りのお爺ちゃん」と呼んでいます。89歳とは思えないほどお元気で、毎日、自転車を颯爽と飛ばして通ってこられます。私は、戦争で鍛えられた人は、体も根性も普通の人とは違うのかなあと思います。十年前に奥様を亡くされたそうです。
「婆さんに死なれたばかりの時は、本当に淋しかったよ。でも十年も経つと、ふん、何だ!あんな女と思うようになったよ。」
お爺ちゃんは、ニヤニヤしながら、でも少し強がっているふうに話します。
 このお爺ちゃんが最近、恋をしました。お相手は、当店で雨宿りをしていた素晴らしい美人、25歳のマユコちゃん。他にお客様もいらっしゃらなかったので、お二人にコーヒーをご馳走してあげたことがきっかけでした。
 それ以来、お爺ちゃんはマユコちゃんの話ばかりをします。お爺ちゃんに言わせると、そこらへんを通るチンケな女とは比べものにならない段違いにいい女なのだそうです。
「ボクのマユちゃん!何とかデートをしたいものだ。渋谷にいいお寿司屋があるから、あそこに誘おうかな?」
と真剣そのものの面持ちで言って、主人に言伝を頼みます。マユコちゃんも、気軽にメッセージを残していきます。
「お爺ちゃん、今度、みんなに内緒でデートしようね。私は沢山、食べるから美味しいところに連れて行ってね。」
可愛い似顔絵も描き込んで、お爺ちゃんに渡してくれるように、主人に頼みます。まるで、当店は恋の仲介所のようです。しかし、マユコちゃんは青春真っ盛り。色々な男友達を連れて当店にやってきます。それで、お爺ちゃんはイライラヤキモキ。
「そんなフシダラナ娘であってはいけない。」
と嘆きます。アララ、どちらがフシダラなのでしょうねえ?お爺ちゃんは、マユコちゃんが連れてきたJJのモデルさんにも色目を遣っていましたから。主人と私は、滑稽やら心配やらで忙しいです。主人は、お爺ちゃんに言います。
「マユコちゃんと渋谷で連れ立って歩いている所を息子さんや娘さんに見られたらどうするんだい?」
「う〜ん、家を追い出されるかもしれねえなあ。」
お爺ちゃんは、少し心配顔。
人間、いくつになってもときめきは大事ですが、でも、さすがにこの恋の行方はどうなるのでしょうか?ドイツの詩人、ゲーテは晩年になって15歳の少女に恋をしたと言いますが、お爺ちゃんの恋はゲーテとは大分、違うように思えます。

   講評   tama

 これまで描かれていなかったエピソードを加えたことで、さらに物語の背景が鮮やかになりました。「ゲーテ」とお爺ちゃんを比べたところもおもしろいです。


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