国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   内的世界と共に   PINK

 子供が不思議と思うことに対して『なぜ』と感じたとき、大人に聞いた答えではなく自分なりの説明に納得することがある。人が疑問を持ったときに納得する答えは、一つの物語になっているのではないだろうか。昔から我々人間は、体験したふしぎな現象を表現するために『神話』をもち続けてきた。しかし、現象の全てを説明するには人間の作った『物語』と切り離したほうが正確になることに気がつきはじめてから、自然科学による方法に頼るようになってしまった。我々は、人間の内的世界と関わりながら近代社会を進歩させていくべきなのではないのだろうか。
 そのための方法として第一に、子供時代の純粋な感性を失わないようにすることだ。子供の頃は誰でも、自分の身の周りに不思議な出来事が溢れていて、そういった現象に対して想像力を駆使して自分だけの『説明』に納得していたはずだ。大人になって、社会の仕組みや現象の理屈を知ってしまうと、幼い頃の柔軟な発想を受け入れることも、考え付くことも出来なくなってしまう。そして理論的な世の中に満足して、当たり前だと思い込んでしまうのだ。例えば、サンタクロースは本当に存在するのかといった話は子供の頃は簡単に信じていただろう。もちろんそれは親や先生などに教えられた影響が強いだろうが、サンタクロースは本当に家にやってきて(プレゼントは不可能だとしても)いると信じていたことは私にも経験がある。クリスマスになるとサンタさんと呼ばれるおじさんが世界中の子供たちに…云々はかなりしっかりとしたストーリーになっている。そしてそれを真に受けた子供達は、期待や心配や好奇心を抱いて過ごすことになる。人間の内的世界が生み出した『魔法』で心を豊かにすることができるなら、我々もそれらを感じる感性を持ち続けなければならない。
 第二の方法として、幼児期から科学的な説明をし過ぎないことだ。幼い子に天体について教える、あるいは説明を求められた時に、理科の教科書に載っているように『衛星は、惑星、準惑星、太陽系小天体の周りを公転する天体だよ。』と言ってしまえばそこで完結してしまう。しかし、夜空に浮かぶ星を見上げながらギリシア神話を語ってやれば、子供の天体に関する興味も沸き、将来天文学に関わる方向へ進むかもしれない。ギリシア神話は、古代ギリシアの諸民族に伝わった神話・伝説を元にした、様々な伝承や挿話の要素が組み込まれた、世界の始まりと、神々そして英雄たちの物語である。世界の始まり、いわば地球誕生の説明を『神話』として語ることで、昔から人間は想像力を働かせ、やわらかい発想で生きていたのだろう。(歴史実例)科学的説明のみで育てられた子供は、現実的で味気ないイメージしか持つことの出来ない『つまらない』大人に成長してしまう。あえて非科学的な説明をすることも必要なのだ。
 確かに、非科学的なものに頼りすぎると、間違った方向に転んでしまう危険性も十分ある。我々が暮らしている便利で快適な社会が実現しているのも、科学の発展と進歩によるものに間違いない。いつどこでも誰とでも連絡を取れるし、音楽を聞くこともできるし、情報を集めるのも簡単だし、何より人類は宇宙にまで進出したのだ。だがしかし、人間は機械ではない。全てを把握し、説明をつけたところで理解が出来るのではなく、心で感じ、時に迷い、正確ではなくとも心から飲み込めた時、初めて分かったといえるのだ。(自作名言)自分と世界との繋がりを実感できる近代社会の発展を期待したい。

   講評   kira

 PINKさん、こんにちは。珠玉の作品になりましたね。PINKさんの願いが宝石のように輝いている感じです。
 科学万能の世の中になって、なぜかニセ科学といったものも横行しています。最新の教育を受けた人が、新興の宗教にとらわれていったり、医術を遠ざけ民間療法にはまったり。これらはどちらかというとマイナスのイメージの出来事ですが、こういった動きは人間の本質の現われかもしれませんね。
 サンタクロースは存在するか。このフレーズから脳を科学していったのが、話題の脳科学者茂木健一郎氏です。なんと科学のスタートラインにもなる問いなのですね。サンタクロースの物語の存在を認めるような感性が心には必要ですね。
 何でも科学で割りきることは、答えを一つにする単純化でもあるように思います。「やわらかい発想」の対極にある「現実的で味気ない」「つまらない」の行き先を少し説明できると、もっと説得力が出そうです。
 まとめの段落はたいへん論理的です。人間と科学の距離感が理想的に保たれて発達していくといいですね。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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