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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   交話機能   ハーマイオニー

 交話機能というのは、簡単に言えば、ことばがもつ、人と人の気持ちを結びつける作用を指すものである。人は他人に出会うと、心の中に警戒、不安、恐れなどの気持が、多少なりとも生まれる。人が出会いの際に経験するこの生物的な緊張をほぐし和らげ、次の交流段階に支障なくつないでゆくきっかけ糸口を与えることが、俗にあいさつと呼ばれる言語行動の主たる役目である。 交話機能とは、人々が本格的な対話関係に入るためのいわば地均し、心の波長合わせを行うものであり、対話者どうしの一体感や帰属意識を高める潤滑油としての働きなのである。
 確かに、言葉には潤滑油としての役割があり、それを生かしていくことが必要である。私は毎朝、7時には家を出るのだが、エレベーターを降りると1階の集合ポストから新聞を取ってきた主婦やお年寄りに会う。すると、向こうの方から「おはようございます」、「行ってらっしゃい」などと言ってくださる。そうすると、まだ目が覚めていないような状態の私も、足取りが軽くなる気がする。
 知らない人に対しては、今の社会では特に警戒心が働く。怖いと感じることもある。そんなとき、このように温かく声をかけられると、たった一言のその言葉に安心し、自分もまた他人に対してそのような態度をとることを心がけるようになるだろう。
 また、挨拶などの一言だけでなく、大事な要件や中身のある話を伝えるためにも、この潤滑油は使うことができる。昔話はたいてい「昔々あるところに……」と始まる。具体的なことは何も言っておらず、あってもなくてもいい言葉だが、このフレーズを聞くと、「さあ、始まるぞ」とわくわくし、その後展開される昔話に集中できる気がする。漫才のネタフリとか落語のまくらと言われるものも、そんな機能があるのだろう。
 しかし、潤滑油としての機能だけで、中身のないおしゃべりばかりでも困る。去年の担任の先生は、地理の担当だったが、非常に雑談が多かった。いや、雑談の方が多かった。話の導入として、生徒の興味を引くために面白い話をしてくれる先生はいるが、この先生の場合は、自分が旅行したときの話などを延々と続け、そのうち授業が終わってしまうのだった。確かに興味深い雑談もあったが、試験日までに範囲が終わらないのには困った。しかし、この先生の話は、結局オチが決まっているのだ。いつも「これからの社会はあなたたち若者が作っていくのです。だからしっかり勉強して一人ひとりが考えていかなくてはならないのです!」と熱弁をふるって終わる。先生の言いたいことはよく分かる。ある意味で効果的に一番大事な内容をシンプルに伝えていたのかもしれない。つまり、やはり中身があったと言えるわけか。このように、言葉は、その内容を伝えてこそ本来の役割を果たしていると言える。
 言葉の潤滑油的な役割も大切だし、内容を伝えることも大事だ。しかし、最も大切なことはその二つの働きがお互いに助け合って機能しているということである。「トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである」という名言があるように、いくら内容が良くても、それがプレー(会話)の中で使われなければ意味がない。中身とそれをうまく伝える表現を両立させていくように努力するべきであると思う。(総合化の主題)

   講評   nara

 電話で「あまり親しくない人と……」という話が出ていたけれど、交話機能を必要としない間柄は、全く接点のない人もしくは話さなくても分かり合えるほど深い間柄、ということになる。そもそも前者とは話す機会がないだろうし、後者のような関係は永遠であれば幸せだけれども、なかなかそうはいかないのが現実。例えば、夫婦で交話機能を使わないという状態は、ラブラブか冷え切っているか、どちらかだ(笑)。大なり小なり交話機能によって人間関係を調整する必要が、日々あるというわけだろうね。
【構成・題材】同じマンションに住む人も、接点がないと思えば挨拶すらもしない。同じマンションだということを接点だと思えば挨拶によって交話機能を活用する。意識に左右されるものだということがわかるね。そもそも自らのテリトリー外だと思えば、潤滑油そのものが不要だ。意識の内外という捉え方ができそうだね。ネタフリ・まくらも、確かに交話機能を備えている。それによって、話を聞く態勢を相手に促すということも、交話機能にはあるのだな。
 潤滑油という比喩を踏まえると、第二意見は油の量が多すぎている状態で、いつまでたっても本質に届かない感じもするね。油をふき取ってみたら、大切なものがやっと見えたということかも。どんな昔話が使えるかなか。潤滑油を使わず「王様は裸だ!」と子供が本当のことを指摘する『裸の王様』などはどうだろう。
【表現・主題】トランプのカードも、いつも同じ役割をしているわけではないね。どの競技ではどのカードが強いか、どうカードを使うかは、プレイの場によって決められる。カードの組み合わせによって力を発揮させるという競技もあるものね。どうやったら、プレイを楽しめるのか。それは何を・誰とやるのかによっても変わってくる。それを見極めるには、知識と経験、状況判断とセンスなどが必要になるのだろうな。
 体調が悪かったのが影響したのかな。森リンの点数が悪いわけではないので、書けていないということはないのだけれども、手応えを感じるセンサーが熱で鈍っていたのかもね。これから寒くなるから、インフルエンザ・風邪には気をつけよう。楽しいことも楽しめなくなるともったいない!

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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