創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   モラトる。   メロディ・ブルー

およそ人間として成長するためには、絶えず現在の自分の生き方を恥じることが必要であろう。自らを恥じるとは、自らを客観視する別の眼をもち得ることである。現在の環境に埋没することなく、つまり現在の職業や地位に腰を据えてしまうことなしに、自分の新たな可能性を絶えず開拓しようとする気迫を持ち続けること、このことこそが、求道者の最も基本的な要件であろう。まして人に向かって法を説く、ひとかどの救済者が自らの道を完結させてしまったなら、その人は既に救済者たる資格は無い。
 生物は成長、進化するのが大前提であり、中でも人間には身体的能力の向上・衰退だけでなく精神の成長や退化が人生の命題と密接に関わっている。其のどちらの方面に於いても有意義に人生を送るのが、私達の理想である。其れを実現する為に先ず最も重要と云うべき事柄は、自分に満足しないことであろう。誰もが「こんなものかな」と口にしてしまえば人類の進歩は其の時点で半永久的に停止することになる。物書きの自分を例に挙げるならば、自分の置かれている現状について自分が如何考えて居るか——いや、もっと簡単な動作として捉えるならば如何感じているか、文章の切迫感の有る無しで直ぐに解ると思う。一昨年から去年迄の私は兎に角どんな小さいことにさえ悩みを発露させ、常人が普通掘り下げない方向へひたすら根暗に背を曲げていた。世界の何にも満足していなかった。そして、今も私は書くことについて大いに執着しているが、今よりももっとあの時は書くことの意味を考えていた様に思う。斯く思ったことを詳細に、如実に表現して記録しなければ、私は屹度何もかも忘れてしまう。そんなよく解らない脅迫観念に駆られて私は闇雲に文章、と云っても只の日記だが、自分の思考の過程を出来る限りに綴った。其のブログの切迫感に満ちた文章については、周囲の知人達の間である意味話題になったりもしたらしい。其れについての良い記憶は皆無であるが、何のしがらみも無くした今振り返ってみれば、あの頃の私の文章力は屹度今よりもずっと冴えていただろうと思われる。流石に読み直すのは酷い羞恥に見舞われると思うのでやりはしないが、部誌に提出した小説を読めば明らかに前の方が鋭利なナイフを内に秘める様な、そんな表現が為されているのである。多分、今の様に目の前のものを全て消費し、吸収し、何もかもにある程度の線で妥協と云う名の満足をしてしまったら、表現のナイフは鈍さを一層増す。だから最近の自分の文章の不甲斐なさに納得いかずに悶えることになるのである。其れがまた自分に満足しなくなる良い切欠であって欲しいと願うばかりだ。
次にもっと幅広い目線で考えてみよう。周りに目を向けると、居るのは殆どが現状に幾らか満足した人々だろう。だが其の中には必ず常の如く否定の感情を持った人間が一人以上は居る筈だ。私には思い当たる友人が約一名居る。彼女はあらゆることに文句をつけなければ気が済まず、頽廃を素で好みロック的思想を是とする。これを聴いただけでは只の痛々しい人間でしか無い説明だが、彼女には先に挙げた特徴以上に強く人を惹き付ける魅力を持ち合わせていた。そして何よりの好きな物に対する執着心。執着と云う言葉はもっと誉め言葉で使うべきだと思う。そう云えばゴッホは好きな女性に自分の耳を切って贈ったと聴いた気がしないでもない。私が其の女性ならばゴッホを好きになるどころか顔も見たくなくなるだろうが、そうまでして好きなものに執着心を見せられるのは才能であり、其処からまた新しい何かが生まれる。私の友人の場合は語学能力についての才能だろうか。こんな世界なんて飛び出してやるよ、と云った彼女の目は屹度、今の私なんかよりずっと光っているだろう。其れは如何にも悔しい気がする。だからこそ現状を見直す必要が私には、私達にはある。
確かに現状維持や満足感はある程度持たなければならない。匙加減は慎重であるべきだ。そうでなくなり天秤の釣り合いが不均衡になった結果、私も友人も去年泣きを見ることになった。そうしない為に、自然と身が充足を感じられるある程度の防御線を作ってしまう。其れが段々自分の常態であると思う様になり、今日の「悩み少なき人々」は作られているのかも知れない。少なくとも私はそういう傾向にあった。其れで満足感を充分に得られるという活路を見出したからだ。然し、生きる上で大切なのは行動結果に満足感をどれだけ得るかではなく、行動結果を次のプロセスへ如何に繋げ、発展させていくかと云うことである。同じ場所に留まり続けることは停滞、そして破滅にしか繋がらないのだ。だから私は絶えず人間として成長し、人生を送って行きたいと思う。

   講評   koni


【複数の方法】 第三段落の「次にもっと幅広い目線で考えてみよう」の後に方法を挙げておこう。例「現状の社会にも満足しないことだ。」

【歴史実例・長文実例】 ゴッホの実例も短文で効果的。このくらいの短さがリズム感を生んでユーモア感をだしているんだね。体験実例や他の人の実例などもよく説明できています。

【ことわざの加工・自作名言】 表現力も豊かです。「AではなくB」という形の文を結論に用いたところもいいね。

【当為の主題・反対意見への理解】 これはいつも通りで完璧。 

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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