国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   玉露の語り   おむふ

 姿を変えぬものが世にあるであろうか。朝、露草に淡くついていたはかなげな玉露も昼になり、陽光が強く照る刻限となるとどうだろうか。澄んだ灯明のごとき玉露はその名残すら残さず今そこに構えているのは青々とした太陽の息吹である。空のおぼろ月も、香炉の霞のような香りもいずれにせよ美しいとされるものはおぼつかずはかなげである。さらには、人の織り成した産物などにおいてはもはや幼き文鳥のよう。いくら飛べたといえどももろくはかなきものであろう。流行もまた同様のものなのではなかろうか。ちょっとした苗からたちどころにあらわれ道化師のようにひょうきんに広がり世に新参する。関心という富をおそろしくたくわえたいわば関心の金満家。そうして実った流行という穂とてこれまたはかないものである。風に煽られそよぐうちに気づいたら朽ち果て滅んでゆく。後にあるのは夜気のようなむなしき気。元来からこの穂にはなかみなどなかったのだ。関心というかりそめの想いであろう。 これぞ流行の行く末である。幾度もこの流行は吹き上がり、燃えに燃え灰となったのだ。本といったものも同じなのであろうか。もちろんそうであるが一口にそうともいえないのだ。古典というものがある。
 ドストエフスキー、ファーブルだれもが一度は必ず耳にしたことがあるだろう。こういった古典こそ良きものである。古典は古いものといった意味ではない。昔から多くの人からの人気を博し長い間したしまれてきたものである。それ故、中身が豊穣につまった珠玉のものである。流行が移り行く川ならば古典はそのかわの源泉の清水とでもいおうか。その上流行をおってばかりではならないだろう。こういった話がある。星新一のものだ。ある新しい物好きな男がいた。彼はたいへんな財産家でもあり新しいものが作り出されたとなるとすぐさまとびついていた。中に入れるテレビ、などなど次々に取り入れていたのだ。そしてその集めた新しいものを自慢するのがなによりの生きがいだったのだ。そんな中でも彼はある一つに飛びついた。人を冷凍保存することによりはるか未来までその人を保存することができるというものである。いずれ、時がたてばこの冷凍マシンから出してもらい当人にとっては未来へ来たようなもの。彼はこれまたすぐさま飛びつき早速そのマシンに入ったのだ。そしてはるか未来にたどりついたのだ。だがそこは文明もおそろしく進んでいる。彼の生きがいである自慢がなにひとつできないのだ。それから何日か未来文明を彼が少し知った後、自分の後に冷凍マシンに入った人たちが今目覚めたという一報を耳にした。彼らにならこの未来文明を知っているということを自慢できるだろう。そうたかをくくっていたがこれまた失敗である。彼の入った冷凍マシンは彼が入った後改良され記憶装置といったものがついたのだ。それは冷凍マシンに入った人が目覚めた後時代に立ち遅れないように随時文明や世界の動きを眠っている間にも脳に送り込むというものである。すなわち彼はこの世で最も遅れた人となってしまったわけだ。 ここにあるようにすぐさま流行に飛びつくというのもあまり良いことではない。
 だがこういったことわざがある。流れる水は腐らぬ。あまりに古典にこだわっていては感受性が腐ってしまうであろう。流行のものにも多大な価値があるだろう。いわば古典はふるいしきたりである。あまりに良質なものを求めていては流行の新たな世界観に目を向けることはできないだろう。その上流行のものというのは人をつなぐ潤滑油ともなりえる。流行の話を元に会話が広がったりと共通の話題をもつことができるだろう。古典ではだれもが知っているというのもごくわずかである。流行なら時代時代に様々なことをつくりあげていけるのだ。
 今古典と流行のものをどちらが読むに値するか考えている自分が急にあほらしく思われてきた。自分はどうかしていたのだろうか。古典にも、流行にも述べてきたように多くの良さがある。だが本来選択すべきは自分が気にいったものなのではなかろうか。流行にせよ古典にせよ自分の気に入ったものを読むのがなによりだろう。それこそが真に心の泉となるはずだ。

   講評   koni


 清書ができました。読解問題も頑張りました。
★12月7日(月)進級試験です。合格目指して頑張ろう!!

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