国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   心の財産   はるかぜ

 私の本だなの上には、昔使っていたバイオリンがおいてある。最近ではずっとおきっぱなしにしてあり、ケースはほこりをかぶっている。大きさは五十センチ足らずでおもちゃのように小さい。今日久しぶりに箱を開けてみたらテールピースの部分がバキバキに割れていて弦も切れていた。ずっとほったらかしにしてあったからだな、と思って少しむなしくなった。でもこのバイオリンには特別な思い出がある。
 このバイオリンを初めて手にしたのは四歳の頃。それから二年間くらい使用した。一番最初のレッスンでひいたのは、「きらきら星」。少しでも音が出たらとてもうれしかった。生まれて初めて発表会で弾いた曲はボッケリーニの「メヌエット」。ドレスを着てこの曲を弾いた時、すがすがしい気持ちだったのを今でも覚えている。祖父はこの時、私をビデオでとりながら涙を流したそうだ。その後、私は「バイオリンの上手な子」と楽器店で注目を集めた。そして先生の期待を集めた二度目の発表会。その後、私は毎日の過酷な練習にだんだんストレスを感じ始めてしまった。以前は好きだったバイオリンに向かうのが、すっかり嫌になってしまったのだ。そして母に相談して思い切って辞めてしまった。しかし、今でもオーケストラやオペラ、バレエが好きで時々チケットをとってもらって観に行ったりする。そんな私の音楽の元になっているのは、ロックでもポップスでもなく、やはりバイオリンで耳にしたクラシック音楽だ。クラシックは本当に、私の気持ちを落ち着かせてくれる。
 我が家にはこのバイオリンよりもっと古い楽器がある。それは私の学習机の横のエレクトーンだ。母は二十年前にこのエレクトーンを約八十万円で購入したそうだが、今では一万円の価値も無いらしい。母も四歳の時から音楽教室に通っていて、編曲したり、作曲したりするのが大好きだったそうだ。後にポップスからミュージカルの曲、クラシックまで弾きこなせるようになったが、それを職業とするわけでもなく、結婚して専業主婦になった。私がバイオリンを習っていた頃は二つの楽器のコラボもあったが、今ではどちらの楽器もほこりをかぶっていて、少しかわいそうである。
 人間にとって「古い物」とは、ただの思い出の品物ではない。人間が構成されていく上で、大きな役割を果たす「心の財産」なのだと分かった。バイオリンによって刻みこまれた音楽の基そは今も私の体の中にしみこんでいる。今となってはずっと昔の思い出のようなバイオリンの経験も「無」ではない。これから人生を歩んでいく過程の中で私は多くの経験をしていくことになるだろう。その一つ一つの経験が私の中で光り輝き続けるのだろう。
 今日、久しぶりにきれいに磨かれたバイオリンは、あの頃と同じ輝きだった。私は、そのバイオリンを大切に本だなの上においた。

   講評   harako


 早々と清書をしてくれました。がんばりました。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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