国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。 ▶ 国語読解クラスのご案内

昨日2346 今日1951 合計51861□

　　　風呂屋の番台　　　のんちゃん

　

　我が家は古本屋をやっています。ユニークなお客様が、沢山いらっしゃいます。その中に、ほとんど毎日来店される方で、風流なお茶の先生がいらっしゃいます。今は７０歳を超えていらっしゃいますが、それでもなかなかのイケメンです。若い頃は、大変なハンサムだったのだろうと思いました。ある時、本当に若い時の写真を見せてくださいました。かのアグネス・ラムと撮った写真で、本当にいい男でした。車もヴィンテージものを沢山、持っていらっしゃるそうで、車の収集家としても、ある筋では有名な方なのだそうです。奥様は日本舞踊の先生をされていらっしゃるそうで、国立劇場で舞われるそうです。ご夫婦で海外にも何度も足を運び、日本文化を広められているそうです。素晴らしい教養の持ち主で識見も高いです。話術も巧みで、ぐいぐいと惹きつけられてしまいます。まるで、現代のスーパーマンのようですね。しかし、困ったこともあります。女性に目がないのです。アダルト本をしこたま買い込んでいきます。先日も、このお茶の先生は、主人に
「俺ね、風呂屋に知り合いがいるんだよ。お宅がお望みなら、交渉して風呂屋の番台に坐らせてやるよ。」
と、大声で得意そうに話しかけてきました。私は、眉をひそめて困ったものだと思いました。主人は、
「検事をやっているお客さんが、この間来てさあ、風呂屋の番台に坐ることが、一生に一度の夢だって言っていたよ。」
と、ニヤニヤしながらボソッと答えました。
私は思いました。男って、アホだ！！

　　　講評　　　tama

　お茶の先生をされているというその男性は、知性と教養を漂わせ、話術も巧みであるばかりではなく、見た目もダンディでかっこいいということですから、とても素敵な方なのでしょうね。異性、同性を問わず、憧れの的になりそうな存在ではないかと推察します。
　ただ困ったことに、人一倍女性がお好きなようですね。「風呂屋の番台は男の憧れだ」とは聞いたことがありますが、堅いお仕事をされている身近な男性の口からもそのような言葉が出るとは…。やはり本当だったのですね。女性には理解できない世界が存在することを、改めて教えられた気持ちです（笑）。
　仕事や肩書などを取り払ってしまえば、男性というものは古今東西、老いも若きも同じ「生き物」だということでしょうか！？

【声顔動作の様子】　先生の口調、ご主人の表情が手に取るように理解できます。困った二人を相手に言葉を失うのんちゃんの様子も、目に見えるようです。