創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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政治への参加 あほーどり
私たちが暮らしている日本は、当然のことながら民主主義である。しかし、世界には独裁主義を取っている国も存在している。
私は経済学部のゼミに入っている。そこで、さまざまな本を読んで勉強しているのだが、ある本に興味深いことが書かれていた。それは、民主主義よりも独裁主義のほうが、経済資源を効率的に配分できるために経済成長率が高い、というものであった。この本を読んだときに、私は確かにそうなのかもしれない、と思ってしまった。
しかし、私たちの身近な独裁主義の国としては北朝鮮が挙げられる北朝鮮を見てみると、とても経済成長しているとは思えず、人々は道端で亡くなっているというのに、独裁者だけが肥えている。やはり、私たちは民主主義を続けてゆかねばならない。
そのための方法としては第一に、自分たちの国の政治に関心を持つことである。日本の場合このことは特に若者が意識しなければならない。
日本はよく投票率が低いといわれるが、その原因は若者にあるといえるだろう。私の所属しているサークルでも、面倒だから投票には行かない、という先輩が何人かいた。去年の夏の選挙でようやく自民党の長年の与党時代が終わった。これからは政党を問わず、よい政治をしなければ選挙で必ず負けるという流れを国民が作ってゆかねば政治はよくなることはないだろう。
そのためには若者の政治への意識改革が必要である。若いころは目の前の生活でいっぱいかもしれないが、長期的な視点で見れば、自分の投票が自分の生活を変えるということを理解すべきだ。
第二の方法としては、いくつかの勢力が存在している状態を維持することだ。先の衆議院選挙では民主党が勝利した。このこと自体はいいことかもしれないが、参議院においても民主党が多数を占めていることを考えると、今の状態はかつての自民党の一党独裁状態に近いものがある。私は、いくつかの政党が拮抗しあっていてこそ健全な政治が行われるのではないかと思う。政治が空転する、ねじれの問題があるなどといわれるが、それでも議論をぶつけ合うほうが、よりよい方法がみつかるのではないか。
確かに独裁主義のほうが経済的効率性、政治的効率性において上回っているところもあるかもしれない。しかし、政治とは国民が、自分たちが満足できる質を保ちつつ行われるべきなのである。
たとえ形式上民主主義が行われていたとしても、国民が政治に関心を持たなければそれは独裁主義と変わらないだろう。国民は、本当に自分たちにとって有益な政治を行ってほしいと思うならば、積極的に投票に行く必要がある。
私も去年二十歳となり、選挙権を得た。自分の表が政治を雨後買うということを自覚して、どこに、誰に投票するかを、他人に流されずに、また、情報に翻弄されずに考え、しっかりと選挙権を行使したいと思う。
昨年の政権交代劇により、政治に関心が集まり始めたように思う。若者に限らず、国民全体が積極的に政治にかかわれば政治は確実によくなるだろう。
講評 mako
独裁主義の方が経済的にも政治的にも効率がいいのね。優れた指導者がいるとそうかもしれないね。今は特に効率性やスピードが重視されるところがあるので独裁主義もなかなか魅力的です。
それでも民主主義をとるべきだと考えるのはどうしてかということについて、ここでは述べる必要はないのですが、背景として考えておくことは大切です。独裁主義では、北朝鮮のように、とんでもない指導者が恐怖政治を行うリスクがあります。でも、民主主義でも格差社会をつくりだすリスクは同じです。それでも民主主義を目指そうとするのはどうしてでしょう?
理想の民主主義社会は多種多様な人々が自由に話し合い、その中でより多くの人が幸福になれる折り合い地点を模索し続けることで成立する社会であると思います。めんどくさそうですよね。最近おこなわれた国際会議COPのニュースを見ていても気が遠くなりそうです。
でもみんながバラバラで違うからこそ集まって力を合わせて生きる意味があると思うのです。そして本来自分だけではなく共に幸せになりたいというのがわたしたち人間に共通の思いなのではないでしょうか。だから民主主義を目指すのだと思います。『まず話し始めよう。そして自分と他者との差異を見つけよう。差異から来る豊かさの発見のなかにのみ、二十一世紀の対話が開けていく』(「対話のレッスン」平田オリザ)
とてもよく書けています。特にみじかな自分の体験を生かして書いているところがいいね。体験を入れると作文に個性が出ます。はじめに述べた主題「私たちは民主主義を続けてゆかねばならない」というのを結びでも使うと、全体がよりまとまった印象になりそうです。
★自分の表が政治を雨後買う⇒自分の票が政治を動かす
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