創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   私の桜   クローバー

「桜前線」という言葉はいただきかねる。季節感は微小感覚のものであり、巨視的に、日本列島全体を見下ろすスケールは、どうにも花見のさまではないと思う。つまるところ、昔からある「花便り」のほうが、はるかに風情に富むのである。散り初めのころのある日、枝を離れた花びらを見ていて、これが地面に達するまでのあいだの状態を、ぴたりと表す言葉がないのに気がついた。一ひらまた一ひらと、自分の重みだけで木を離れ○○○てゆく花びらのありさまをいう動詞は、簡単には見つからない。肌に感じるほどの風はなく、空は青く晴れわたり、いましま枝離れした花びらは、空気がそこにあるのだということを気づかせる程度の支えを受けて、静かに漂うがごとくにしつつ、しかし確かに地表へ降りてゆく。それは「漂う」でもなく、もとより「降りる」でもない。自然はついに言語の及びえないものなのであろうか。雪よりも長く時間をかけて、浮かびながら降りてゆく一枚一枚の、数量と重量についての微小感覚が、「降る」には欠けていてもどかしい。花便りのいろいろの言葉を作り出し、育ててきた日本語だから、私のまだ知らないところに、あの美しさを表す言葉があるのかもしれない。もし日本語にそれがなければ、それは日本語の語彙の貧弱を意味すると、二十年前と同じことを考えさせられた、日本語になくてはならない言葉のように思えるのだが。
 私の家のすぐ近くには、神田川が流れている。その神田川沿いには桜が毎年満開になり、私たちにすごく素敵な春を感じさせてくれる。マンションのお部屋からその桜を見下ろすとそれはまるでピンクのカーペットのようだ。でも、お花見をしながら、母と桜の話をすると、良い言葉が出てこないことがすごく多い。たとえば、小さなつぼみが大きな枝から顔をのぞかせているとき、その感じは、チョコンでもなくポチッでもなくポツンでもない。どの言葉を当てはめてもしっくりこなくて、物足りない感じがする。それに桜が小さな風に乗って○○ているとき、それは浮かんでいるでもなく泳いでいるでもない。それに、その様子はフワフワでもユラユラでもないのだ。本で読んだのだが、雪のたくさん降る地方である新潟県では、やみそうにない強い雪は棚木下ろしというなど、雪の種類ごとの名前がたくさんあるそうだ。桜の様子についてももっとたくさんの日本語ができれば良いのにと思う。
 桜を見ていて、日本語の不便を感じることもあるが、他にもいろいろなことを考える。ぼうっと眺めていることが多いが、先日、桜の人生を考えた。私は、小さい頃、葉っぱのフレディという本を読んでもらったことがある。たった一枚の葉っぱのこととも思えるが、たった一枚ぽっちの葉っぱでも、その命は大事な命である。それは桜の花びらにも当てはまると思う。お花がそのままポッと優しく落ちたのを見ると寿命だったのかな、とも思うけれど、強い風が吹いて、花びらがばらばらにたくさん散っていくと、すごくかわいそうな気がする。私は、三四年生のときに、風で花が散ったときにビニール袋を広げて走り回り、お花を集めたことがある。そして何日かしてぺっちゃんこになって腐っている桜がバッグから出てくる。私はすごくかわいそうになった。
そして、私は一寸の虫にも五分の魂という様にどんなに小さいものでも、命があり、どんな小さな命でもすごく大切だということが分かった。人間にとって言葉は自分の意思や考えを相手に伝えるのに一番いい手段である。だから、日本語が不便で物足りない言葉から少しでも遠ざけられるようにしてほしい。

   講評   hoemi

《構成》 長文の内容をしっかり要約できていますね。
《題材》 見事に咲き誇る桜、チラチラと舞う桜。見事さと美しさ、はかなさなどいろんな表情を持つ桜にピタリと当てはまる言葉がないという話をよく書けましたね。ズバリという一言があてはまらないことはよくあることですね。そんな時、言葉の限界を感じますよね。長文の内容に関連づけて話を盛り上げることができました。
《表現》 「まるでピンクのカーペットのよう」と神田川沿いに咲く桜をたとえることができましたね。すてきなたとえでした。
《主題》 「人間にとって言葉とは」と大きくまとめることができましたね。言葉はコミュニケーションツールとしては必要不可欠なものだけど、言葉をこえるものがあることは知っておいた方がいいですね。

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