まだ幼稚園年長や小学1年生で、作文など書いたことがほとんどない子に、「さあ、作文を書きなさい」と言っても、途方にくれるのが普通です。
 子供は、自分がよく知っていて慣れているもの、安心できるものしかやろうとしないのです。
 そこで、手助けが必要になります。
 これは、手助けというよりも、親が見本を見せてあげることで、子供が慣れて自信を持てるようにするためのものです。
 その手助けの最初のきっかけが、親子で書く構想図です。
 この動画は、初めて教室に来た幼長の生徒に、先生が初めて構想図を教える場面です。
 横にお母さんがいるので、子供にはやや安心できる場面ですが、どんなことをするかわからないので、多少不安もあったと思います。
https://youtu.be/RdLqUBxLc08
 この動画では、ただ構想図を書いただけですから、5分程度で終わっていますが、親子で書く場合は、ここに項目表の表現を入れます。
 例えば、こんな感じです。
親「じゃあ、そのときの『会話』ってあったかなあ」
子「うん、あったよ。先生が『きょうはたのしいはっぴょうかいにしましょう』ていったよ」
親「じゃあ、それ書こう。それから、『□○□○』ってあるかななあ」
子「えーと、ちょっと『ドキドキ』した。あと、みんなが『ガヤガヤ』としていたのが、きゅうにしずかになった」
親「なるほどね。では、ダジャレってどこかに入るかなあ」
子「うーん、わかんない」
親「じゃあ、これどうかなあ。『ハッピーなはっぴょうかい』って」
子「少しむりがあるとおもうけど」
親「……」
という感じで、親子で言葉遊びを楽しみながら構想図を書きます。
 そのあと、その構想図をもとにして作文を書きます。
 子供がまだ書けない場合は、親が書き、子供がある程度書ける場合は、その構想図を参考にしながら子供が書きます。
 しかし、書き手を限定する必要はないので、子供が書いたあとに親が書き、親が書いたあとに子供が書く形でもかまいません。
 お父さんにも登場してもらい、お父さんが続きを書いたりコメントを書いたりしてもいいのです。
 この親子で書く構想図で何が身につくかというと、子供の語彙力とコミュニケーション力です。
 そして、作文を書くというのは、簡単で楽しいものだという最初の見方が形成されます。
 お母さんの書いた作文には漢字のふりがながふってあるので、子供が読むこともできます。
 みんなの前でその作文を発表しているうちに、漢字の読みも覚えるし、読み方も上手になり、作文の書き方も自然に身につきます。
 そして、ほかの人の作文の発表について質問や感想を言ったり、それに答えたりしているうちに、子供どうしがいつの間にか友達のようになります。
 友達の前で作文や読んでいる本を発表するので、できるだけいいものを発表したいと思うようになります。
 誰かが暗唱を発表するようになると、自分も暗唱をしてみたくなります。
 というように、どんどんいい方向に回転していきます。
 幼児や低学年の作文の勉強は、勉強らしい雰囲気ではなく、遊びのような感覚でやっていくといいのです。