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頭の悪い子が増えているという話――子供の頭をよくする方法  2022年12月2日  No.4584
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●動画:https://youtu.be/LUHrQqQC5yw

 「日本人の8割がTwitterの短文すら理解できない」というタイトルの記事が、PRESIDENT Onlineに載っていました。
 しかし、それでも、日本人の理解力は、OECDの調査によると、世界でトップなのだそうです。

 以前、アメリカのコカ・コーラ社のFacebookのコメント欄を見て不思議に思ったことがあります。
 多数のコメントが、ほとんど叫び声のような文ばかりなのです。
 たぶん、まともにコメントを書く人がほとんどいなかったのだと思います。

 昔、SNSで使われている言語シェアの調査がありましたが、日本語はかなり上位でした。
 日本語で投稿されている記事が多いということだと思いました。
 しかし、最近は、そういう調査はないようです。

 戦時中、日本と戦ったアメリカ軍は、日本兵の多くが手帳に日記を書いたり歌を書いたりしていたことに驚きました。
 アメリカでは、文章を書く人は、ごく一部のエリートに限られていたからです。

 江戸時代の庶民の楽しみのひとつは、手紙のやりとりでした。
 当時、日本人の識字率は世界でも突出して高かったので、自然にそういう文章のやりとりによる文化が生まれたのです。

 ところが、今、日本人の識字率はかえって低下しているように見えます。
 新井紀子さんは、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」で、子供たちの読解力が低下していること実証的に明らかにしました。

 先日、小学校で算数を教えているという人の話を聞きましたが、繰り下がりのある引き算をいくら説明しても理解できない子がいるということでした。
 私は、この話を聞いて、できないのは算数の計算の仕方ではなく、説明を読んで理解する力ではないためではないかと思いました。
 大事なのは、文章を理解する力で、実はこれが頭のよさの本質なのです。

 総合学力クラスに参加している小1や小2の子供たちを見ていると、読書紹介をするときに、読んでいる本の差がかなり大きいことがわかります。
 絵がほとんどの本を読んでいる子と(読書は楽しみのために読むものですから、それはそれでいいのですが)、字の多い本を楽しく読んでいる子との違いでます。

 また、文章の読み方にも、大きな差ががあります。
 初めて見る文章をすらすら読める子もいれば、つっかえながら読む子もいます。
 つっかえながら読む子は、読書の楽しさを知る以前の段階にいます。

 この読書力は、読解力であり、更には頭のよさでもあるのです。
 だから、頭のよさというものは生まれつきのものではなく、教育によって変わるものです。

 その場合の教育とは、ドリルで勉強をするようなものではありません。
 質のよい日本語を、耳と目からふんだんに吸収することが学力の基本になります。

 しかし、この場合、CDやビデオのような、生身の人間を通さない音声のインプットは、かえって害があります。
 生身の人間からではない音声は、感情を伴わない言語葉の理解になるからです。
 理解力と共感力をともに育てるためには、人間による直接の話しかけが必要です。

 子供の理解力と共感力を育てるための最も簡単な方法は対話です。
 日常生活の中で、親が子供に、折に触れて面白い話を聞かせてあげることです。
 そのためには、親自身が日常生活の中で、面白い話題を見つけることが必要になります。
 そのためのいちばんの方法は、やはり親自身の読書です。

 作文力は、学力の集大成です。
 小学校高学年の作文でレベルの高い文章を書く子は、共通して、親から面白い話を取材してきます。

 子供に、「○○というテーマで作文を書くけれど、お母さん、何か似た話ある?」と聞かれたとき、子供が面白がるような深い話をすぐに思いつけるということが大事です。
 「そんなの自分で考えなさい」とか、「ネットで調べてみなさい」というのでは、子供は賢くなりません。
 学力は、勉強によって育てるものではなく、豊富な日本語によって育てるものなのです。


▽PRESIDENT Onlineの記事
「日本人の8割がTwitterの短文すら理解できない?」…急増する"バカ"の正体」
https://president.jp/articles/-/63846?page=3

233-0015 233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9063
 
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 コメント欄

森川林 20221202  
「うちの子は本を読まないんです」ということをよく聞きます。
 それは、子供が本を読まないのではなく、お母さんが本を読まない子を育ててきたからです。
 今からできることは、お母さんが読み聞かせを再開して、耳から読む読書を始めることです。
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