対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

これまでの全記事
作る学力と暗唱(その2)  2009年4月28日  No.468
ホームページの記事は→468
 生きた知識とそうでない知識を比較するために、生きた現実と死んだ観念の違いについて考えてみます。
 実物のオレンジは、置いておけば、食べられる、腐る、芽を出すなどいろな可能性に取り囲まれています。しかし、絵にかいた餅は、いつまで置いておいても餅のままです。
 これと同様に、生きた知識は現実の中に位置づけられた知識で、死んだ知識は知識の一面を観念的に抽出したものということができます。例えば、生きた知識は人物の歴史の中で知る歴史上の知識で、死んだ知識は歴史の用語集などで知る知識です。
 この現実の中に位置づけられる生きた知識を身につける方法は、熱中や感動の中で知識を得ること、時間をかけて知識を得ること、文脈の中で知識を得ること、反復の中で知識を得ることなどです。感動して身につけたことは、いつでも自分自身の体の一部のように思い出すことができます。老人が長い人生の中で身につけた知識は、短い言葉でも多くの人を説得する力を持ちます。同様に、ストーリーの中で身につけた知識や、反復の中で身につけた知識は、いつでも使える知識になります。
 ここで話が少し複雑になりますが、知識の現実度が高まるにつれて、その知識は多くの可能性を持つようになります。それは、現実のオレンジが絵にかいた餅よりも、多くの可能性を持つことと同じです。この知識の持つ可能性が、思考の材料として使えるということです。いわば、知識が可能性という何本もの手足を持った状態で保存されているので、そこから多様な組み合わせができるようになるのです。可能性という手足の少ない死んだ知識は、「日本でいちばん長い川は」「はい、信濃川です」というような、単なる記憶の再現として使える一本の手足しか持っていない知識です。このような知識をいくらたくさん持っていても、これらの知識を組合わせて創造的に考えることはできません。死んだ知識は、組み合わせる可能性の手足の少ない知識だからです。
 ここで、暗唱ということを考えてみると、暗唱という勉強は、物事を文脈と反復によって生きた知識として身につける方法ではないかというのが私の考えです。
 言葉の森の作文の勉強の項目の中に、「長文実例」というものがあります。これは、生徒がこれまでに読んだ長文の中から、自分の意見を補強するのに使えるような実例を思い出して書くという練習です。長文暗唱が自習として定着していけば、この長文実例は、データ実例や昔話実例や伝記実例などと同じように、作文をより豊かにする材料として使えるようになると思います。
(つづく)

233-0015 233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9063
 
 同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 教育論文化論(255) 

 コメント欄
コメントフォーム

作る学力と暗唱(その2) 森川林 20090428 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。 お名前(ペンネーム):

 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

受講案内の郵送(無料)をご希望の方は、こちらをごらんください。
(広告規定に基づく表示:受講案内の郵送を希望される方はご住所お名前などの送信が必要です)

電話通信の無料体験学習をご希望の方は、こちらをごらんください。
(無料体験学習をお申し込みの方に、勉強に役立つ小冊子をお送りします。)

Online作文教室 言葉の森 「特定商取引に関する法律」に基づく表示」 「プライバシーポリシー」