ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 作る学力と暗唱(その2) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 468番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
作る学力と暗唱(その2) as/468.html
森川林 2009/04/28 09:13 
 生きた知識とそうでない知識を比較するために、生きた現実と死んだ観念の違いについて考えてみます。
 実物のオレンジは、置いておけば、食べられる、腐る、芽を出すなどいろな可能性に取り囲まれています。しかし、絵にかいた餅は、いつまで置いておいても餅のままです。
 これと同様に、生きた知識は現実の中に位置づけられた知識で、死んだ知識は知識の一面を観念的に抽出したものということができます。例えば、生きた知識は人物の歴史の中で知る歴史上の知識で、死んだ知識は歴史の用語集などで知る知識です。
 この現実の中に位置づけられる生きた知識を身につける方法は、熱中や感動の中で知識を得ること、時間をかけて知識を得ること、文脈の中で知識を得ること、反復の中で知識を得ることなどです。感動して身につけたことは、いつでも自分自身の体の一部のように思い出すことができます。老人が長い人生の中で身につけた知識は、短い言葉でも多くの人を説得する力を持ちます。同様に、ストーリーの中で身につけた知識や、反復の中で身につけた知識は、いつでも使える知識になります。
 ここで話が少し複雑になりますが、知識の現実度が高まるにつれて、その知識は多くの可能性を持つようになります。それは、現実のオレンジが絵にかいた餅よりも、多くの可能性を持つことと同じです。この知識の持つ可能性が、思考の材料として使えるということです。いわば、知識が可能性という何本もの手足を持った状態で保存されているので、そこから多様な組み合わせができるようになるのです。可能性という手足の少ない死んだ知識は、「日本でいちばん長い川は」「はい、信濃川です」というような、単なる記憶の再現として使える一本の手足しか持っていない知識です。このような知識をいくらたくさん持っていても、これらの知識を組合わせて創造的に考えることはできません。死んだ知識は、組み合わせる可能性の手足の少ない知識だからです。
 ここで、暗唱ということを考えてみると、暗唱という勉強は、物事を文脈と反復によって生きた知識として身につける方法ではないかというのが私の考えです。
 言葉の森の作文の勉強の項目の中に、「長文実例」というものがあります。これは、生徒がこれまでに読んだ長文の中から、自分の意見を補強するのに使えるような実例を思い出して書くという練習です。長文暗唱が自習として定着していけば、この長文実例は、データ実例や昔話実例や伝記実例などと同じように、作文をより豊かにする材料として使えるようになると思います。
(つづく)


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 教育論文化論(255) 

コメント欄

コメントフォーム
作る学力と暗唱(その2) 森川林 20090428 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
けこさし (スパム投稿を防ぐために五十音表の「けこさし」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 教育論文化論(255) 
コメント1~10件
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
近所のローソン 森川林
毎日新聞を見たけど、記事はまだ載っていまでした。 4/25
毎日新聞に言葉 森川林
 しばらく前に、毎日新聞の人が取材に来ました。  そのとき 4/24
テスト送信 森川林
https://www.mori7.com/za2024d0 4/24
4月保護者懇談 森川林
シラン ●今後の「森からゆうびん」の学習デ 4/22
マスクにしても 森川林
マスクにしても、ワクチンにしても、消毒にしても、 自分たち 4/21
イエスも釈迦も 森川林
イエスも釈迦も、理想の社会を築きたいと思っていた。 しかし 4/21
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習