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■ 中学生の作文にはどんな力が求められるのか
作文検定には、小学生から高校生まで、多くの子どもたちが参加しています。作品はすべて AI によって語彙や構成の観点から評価され、毎月「森リンベスト」として優秀作が紹介されます。今回は、その中から中学三年生の生徒の作文「デジタル化アナログ化」を例に、どの部分が評価されたのかをご紹介します。
十二月は提出数が少なめですが、一月になると小一から全員が掲載されるため、ベストテンの顔ぶれはとてもにぎやかです。小一から小三までは保護者の方が入力を手伝うケースもありますが、小四以降は多くの子が自分で入力しています。学年が上がるほど文字数も増え、六年生では千二百字を超える作品も珍しくありません。
その中で、中学生の作文は内容の深まりが特徴です。今回取り上げる作文も、しっかりとした調査と体験が組み合わさった、とても説得力のある文章でした。
■ データと体験が文章に説得力を与える
この文章は「時計を選ぶときアナログかデジタルか」という日常的なテーマから始まります。しかし、その後に続く記述には具体的なデータが引用されています。たとえば「1980年代にはデジタルがアナログを上回った」「1990年にはデジタルの比率が二割まで落ち込んだ」というように数字を示すことで、読み手に強い印象を与えています。
数字の提示は、文章の説得力を大きく高める要素です。さらに彼女は「小学生の頃、数字を入れると説得力が増すと教わった」という体験も書き添えています。データと体験が結びついた文章は、単なる説明を超え、読み手の共感を呼び込む力を持ちます。
また、デジタルとアナログの特徴を対比しながら、どちらにも利点と欠点があることを丁寧に述べています。論理的な比較の姿勢が一貫しており、文章全体に安定した構成力が見られます。
■ 中学生らしい視点の広がりと学びの積み重ね
さらに良い点は、自分の学習経験をうまく取り入れていることです。模試の結果を例に挙げ「グラフで示されると弱点がよくわかる」と説明する場面は、アナログ情報の利点を体験的に理解していることを示しています。数字だけでは掴みにくい全体像を、視覚的に理解する方法としてグラフを挙げている点は、とても中学生らしい気づきです。
作文の最後では「人と同じではなく、自分が最高だと思うものを作れ」という先生の言葉を引用し、学びを自分なりにまとめています。学校での経験や日常の対話から得た価値が文章の背景にあることは、評価の上でも重要な要素です。
家庭での親子の会話が豊富な子ほど、学校での学びを吸収しやすく、作文にも深みが出ます。この文章には、その積み重ねがはっきりと表れていました。
■ 作文指導が数字で見える時代へ
作文検定では、語彙力を「思考語彙」「知識語彙」「表現語彙」「経験語彙」の四つに分けて評価しています。この作品は知識語彙や表現語彙が特に豊富で、高いレベルに達していました。一方で、思考語彙はやや少なめだったため、総合点のバランスの面では課題が残りました。
しかし、こうした具体的な数値が出ることで、どこを伸ばせばよいかが明確になります。AIによる講評も加わり、作文学習が「結果が返ってこない」という従来の弱点を大きく改善しています。学校では時間的な制約から作文指導が十分に行われないため、こうした仕組みは学習の質を高める大きな手助けになります。
週に一度であっても、継続的に書き続けることで作文力は確実に伸びます。評価が見える作文検定は、そのサイクルを支える新しい学習環境と言えるでしょう。
■ まとめ――作文は未来の自分への投資
今回紹介した中学三年生の作文には、デジタルとアナログの対比だけでなく、自分の体験や学びがしっかりと生かされていました。こうした作文は読む人に安心感と説得力を与えます。
これからも学年ごとの優れた作品を紹介しながら、よりよい書き方をわかりやすく伝えていきたいと思います。作文指導に興味のある先生方、またお子さんの思考力を伸ばしたいと考えている保護者の方は、ぜひ作文検定にご参加ください。作文は、未来の自分をつくる大きな力になります。
▼note
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作文は、褒められても注意されても、そこに客観的な基準がなければ、子供は意欲的に取り組むことができません。
褒められつづければ、そこから進歩しません。
注意されつづければ、書くことが嫌になります。
作文検定(森リン)という基準をもとに、人間がその作文を見ることが大事なのです。
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