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AIを超える人間の能力は、知識技術の身体化から始まる――小学校低学年の時期の作文は手書きで  2026年5月28日  No.5517
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https://www.youtube.com/watch?v=XIGO_Wx3ySI

 AIが東京大学の数学の入試問題で最高レベルで合格する点数を出したというニュースがありました。

 AIの能力は日々進化しており、現在はプログラミングも人間がどのようなことをしたいのかを指示すれば、AIがある程度まで自分でプログラムを作ってくれるようになっています。

 また、文章作成に関しては、多くの人がすでに感じていることですが、書く内容やタイトルを指示すれば、AIが独自に文章を書いて仕上げてくれます。

●AI時代における教育の本質
 
 こういう状況を見て、これからは子供たちが教育を受けたり、勉強をしたりすることは必要なくなってくるという極端な意見を述べる人もいます。
 ある面では当たっていますが、私は、私たちは教育というものの本質を考える必要があると思います。
 そうでなければ、人間は便利な道具を使えるだけの猿と同じような存在になってしまうからです。

では、道具を使える猿と道具を使える人間の違いはどこにあるのでしょうか。
 それは猿が単に道具を使えるだけであるのに対して、人間はその道具を使って創造することができる点です。

●創造の原点としての「身体化」
 
 では、創造の元になるものは何かというと、それは一つには人間の身体であり、もう一つには身体化された知識や技術なのです。

身体が大事なのは、機械やAIと違って、身体が問題意識の出発点になるからです。
 人間には様々な喜びや苦しみがあります。
 それが創造の原点です。

しかし、人間が猿や犬や猫と異なるところは、その身体に知識や技術が含まれるようになることです。
 知識や技術を道具として使うだけであれば、それはAIやロボットでカバーすることができます。

しかし、人間には知識を創造したり、技術を進化させたりする力があります。
 それはその知識や技術が身体化されているからできることなのです。

ここで大事なのは、単に知識を知っていることだけではなく、その知識を自分の手足のように無意識のうちに自由に動かせるようになることなのです。

●各分野における身体化の必要性
 
 例えば数学について言えば、ある問題をどのように数学的に解決するかということを考えるときに、基本的な数学の知識と技術を持っていることが必要になります。
 AIは答えを与えてくれるかもしれませんが、人間がどういう答えを必要としているのかということは、数学の基本的な素養がなければ問題として提案することができないのです。

これは、プログラミングについても同じです。
 プログラミングでどういうことができるかという知識が、基本的なもので良いので身体化されていなければ、どういうプログラムを作ってほしいのかという問題意識を持つことができません。

さらに重要なのは、文章を表現する力です。
 AIに文章を書いてもらうことはできますが、どういう文章を書いてほしいのかという問題意識には思考力が必要です。
 その思考力は、文章を書くという作業が身体化されていることによって実行できるのです。

●小学校低学年における「手書き」の重要性
 
 文章の身体化の元になるものは、対話と作文です。
 しかし、作文はキーボードで入力する作文ではなく、手で書くという身体化を伴った作文です。

作文を書ことの身体化には適齢期があり、小学校1・2・3年生のうちに手書きで書く感覚を身につけておく必要があります。
 この時期に、文字を手で書くことが、考えなくても自然にできるようになるまで身体化しておく必要があるのです。

この手書きによる思考力の身体化が身につくことによって、その土台の上に、テキスト入力をするとか、音声入力をするとかいうことが、創造的な文章を書く力になるのです。

●紙の本がもたらす読書の身体化
 
 これは、読書にも当てはまります。
 小学1・2・3年生のうちは、紙の本で文章を読むことで身体化が行なわれます。

読書はデジタルな情報として吸収するものではなく、本や紙という触れられるものを通して吸収することによって、文章を読むことが身体化されるのです。

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