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子育ての目標は大学入試ではなく、その先の人生で新しいことを始めること  2026年7月5日  No.5549
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◆◆大学入試は大切だが最終目標ではない

 お父さんやお母さんの時代は、大学に合格することが大きな目標でした。
 それは、もちろん今でも同じです。
 学歴によって、就職できる会社の選択肢が広がるからです。

 また、いい大学に入れば、知的なよい友達と出会える可能性も高くなります。

 しかし、大学を卒業したあと、どういう人生を送るかということは、子供ばかりでなく、今の親にも本当のところはよくわからないと思います。

 今の時点でよいと思われていることでも、子供が成長して30代・40代になったときにも同じような状況が続くとは言えません。
 むしろ、状況が逆転することもしばしばあります。

◆◆これからの時代に必要なもの

 世の中の流れがどう変わるかについて言えば、時期が早いか遅いかはわかりませんが、ベーシックインカムのような仕組みが少しずつ広がっていくと思います。

 そこまで行かなくても、AIの発達によって働き方が大きく変わり、人間が生活のためだけに働く時代ではなくなる可能性があります。

 そのときに人間に残る大切なものは、「自分が心からしたいことがある」ということです。

 そのしたいことは、「受け身のしたいこと」ではなく、「能動的にしたいこと」である必要があります。
 なぜかというと、「受け身のしたいこと」は、そこにいくら時間を費やしても、蓄積というものが生まれにくいからです。

 例えば、「好きなだけ面白いYouTube番組を見る」とか、「好きなだけゲームをする」とか、「好きなだけおいしいものを食べる」とか、「好きなだけ行きたいところへ旅行する」といったことは、何年間続けても、自分の個性にはなりにくいと思います。

 人間が他の人と豊かなコミュニケーションを交わすためには、費やした時間が受け身のものではなく、能動的なものであることが必要です。

◆◆個性は「学ぶこと」より「作ること」で育つ

 ところで、今の学校教育は、本質的には受け身のものです。
 「学ぶ」ということは、答えのあるものを学ぶことですから、自分を向上させることにはなりますが、学んだことだけが多くても、その人らしい個性にはなりにくいのです。

 では、個性となる時間の過ごし方は何かというと、それは「作ること」です。
 「学ぶこと」はみんなと同じになることですが、「作ること」は自分だけのものになります。

 「作ること」は、最初のうちはレベルが低いことが多いので、個性というほどのものにはなりません。
 しかし、その「作ること」を5年、10年と続けていけば、それは他の人にはない個性になります。

◆◆子供のうちから「作る好きなこと」を育てる

 今、大人でも、自分が何をしたらいいかわからないと思う人が増えています。
 昔は、日常生活や仕事に追われて忙しかったので、そんなことを考える余裕はなく、休みが取れればほっと一安心というような人生でした。
 しかし今は、昔よりも自由に使える時間が増えています。

 そのときに、自分のしたいことがあるということが、その人の個性になり、生きがいになります。

 そのように考えると、子供時代の教育では、「学ぶこと」とともに、「作る好きなこと」を育てていく必要があります。

 作ることとは、文章を書くことでも、音楽でも、プログラムでも、研究でも、ものづくりでもかまいません。

 言葉の森がオンラインクラスの中で「創造発表」の時間を設けているのは、この「作る好きなこと」を育ててほしいからです。

 ベーシックインカムの時代になれば、仕事をしなくても、つまり給料をもらわなくても、楽しく暮らしていける社会になるでしょう。

 この2、3年でそうなることはないと思いますが、子供たちが成長する10年後、20年後の世界では、そのような社会が実現している可能性があります。

 「定年になったら自分の好きなことをして暮らす」と言う人もいますが、熱中できる趣味を育てるには長い時間がかかります。

 子供の大学入試や就職は当面は大切ですが、それと同時に、10年後、20年後に熱中できる「作ること」を持てるような子育てもしていく必要があります。

◆◆子供の進路は「やりたいこと」で選ぶ

 日本のロケットの父と言われる糸川英夫が中学5年生のとき、志望校選びで迷っていました。
 ひとつは上野の音楽学校(東京藝術大学)の作曲科、もうひとつは東京高校(今の東大教育学部附属中等教育学校)の理科でした。

 入学願書を出す間際まで決心がつかず、悩みに悩んで母親に相談しました。

 母親はさすがに一瞬顔色を変えましたが、返答は即座でした。

 「自分のやりたいものを自分で選べ。ただし入試の難易度によって決めるな」(「私の履歴書」より)

 このときの母親の考え方こそ、子育ての方針です。

 どちらが得か、どちらが入りやすいかという基準ではなく、自分の本当にやりたいことを選ぶという姿勢が大切なのだと思います。


※言葉の森のnoteの記事もごらんください。
https://note.com/shine007

233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9061
 
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