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暗唱は頭の早朝ランニング  2009年10月17日  No.658
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 港南台教室では、9月から900字暗唱に挑戦してきました。一週目は300字を暗唱します。2週目はその次の300字を暗唱します。3週目はその次の300字を暗唱し、4週目に900字全部を暗唱します。毎日、10分の勉強で、だれでも1ヶ月で900字の暗唱ができるようになります。

 ただし、4週目の暗唱チェックで1ヶ所でも読み違いがあると、更にもう1週間900字を毎日4回ずつ暗唱してくることになります。接続詞や助動詞も正確に暗唱するのですから、少し厳しいと思われるかもしれません。しかし、これは将来、英文の暗唱する場合に、複数形や冠詞の有無など日本人にとってはあまりなじみがないところも丸ごと覚えることと同じです。暗唱する場合は、できるだけ正確に覚えておく習慣をつけておいた方がいいのです。

 歌を歌うときに、歌詞を1ヶ所も間違えないように、900字の暗唱をするときに、文章を完璧に暗唱できるようにすることはそれほど難しいことではありません。しかし、ほんのわずかのミスで再度暗唱するようになったときに、親は子供にどのように話をしてあげたらいいのでしょうか。大事なのは、暗唱というものに対する位置づけです。


 まず第一は、ほとんど覚えた900字の文章を1日4回暗唱することは、実は意外に楽しいものだということです。暗唱は、毎朝のランニングと同じように、習慣になると頭のウォーミングアップになります。暗唱の目的を文章を覚えることと考えると、ほとんど覚えているものを、まだ覚えるために練習するという空しさを感じますが、暗唱の目的を頭をよくするための頭脳のランニングのようなものと思えば、毎日の暗唱は苦になりません。

 第二は、同じところを繰り返すことによって、本当の実力がつくということです。現代社会では、大人も子供も先に進むことに価値を見いだしがちです。しかし、実は先に進むよりも、同じところたっぷり繰り返すことが実力をつけるためには大事なことなのです。中村天風の子供時代の剣術の修行は、同じ場所を何度も前後に往復してひたすら素振りをする練習でした。明治時代に四書五経をを暗唱した人たちは、大人になってからも折に触れてその暗唱を口ずさんでいました。塙保己一は18歳のとき、般若心経約300字を1日100回1000日間暗唱するという練習を自分に課しました。いずれも、できるようになったから完成なのではなく、できたあとも続けることに意味があったということです。

 第三に、しかし、同じことを同じように続けることに飽きが来ることは当然あります。そのため、暗唱がすっかりできるようになった文章については、暗写をすることを目標に読んでいくようにします。暗写とは、全文を見ないでもそのまま書けるようにすることです。その際、読点の場所や漢字とひらがなの区別についてはそれほど厳密でなくてもかまいませんが、できるだけ原文どおりということを原則としていきます。また、この暗写と似ているもう一つの目標が、できるだけ早口で読むことです。覚えた文章を猛スピードで読むと、それがすっかり頭の中に定着します。


 今回の900字暗唱では、暗写はしませんでしたが、次回は、暗写までを目標にしていきます。なぜ暗写をするかというと、読み言葉と書き言葉の間には、脳を使う場所の違いがあるからです。そのため、暗唱したことがそのまますぐには文章を書く力には反映しないのです。

 ただし、900字の暗写をそのまますると、それだけで2、30分かかってしまいます。かといって、テスト形式の問題を作るとシステムが複雑になります。今考えている方法は、毎週の300字の暗唱のあと、自信のある文章100字分を暗写するというやり方です。


(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)


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