創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

これまでの全記事
上手だが盛り上がりに欠ける作文を書く子の指導  2010年6月5日  No.924
ホームページの記事は→924



 上手に書けているが、作文が盛り上がりに欠けるという子がいました。一人は小学校低学年で、もう一人は小学校高学年で、いずれも男の子です。

 二人とも学力はかなり優秀で、同じ学年の子がまず書けないような語彙を自然に使って文章を書くことができます。

 しかし、低学年の子は、運動会の話を、「次は……をして……」「次は……をして……」と長く書く作文でした。それぞれの話はそれなりに面白いのですが、読み終えた印象は、次々と出来事を羅列しているような感じです。

 こういう作文を読むと、ほとんどの大人はこう言います。「長く書いたのはえらいけど、まとまりがない」。

 次は、高学年の子です。「ぼくの友達」というようなテーマで、自分がこれまでに遊んだいろいろな友達の話を書いていました。ひとりひとりの話をおもしろおかしく書いているので、それぞれのエピソードには、表現力もユーモアも感じられますが、全体を読み終えたあとの印象はやはり、事実を並べただけで盛り上がりに欠けるという感じです。

 このように、「上手に書けていて」「国語力や他の学力もかなりあるが」「しかし、事実を次々を並べるような書き方で」「盛り上がりに欠ける」という作文を書く子をどう指導したらいいのでしょうか。


 実は、こういう子は、このままでいいのです。

 小学校のときこそ、書き方が平板だという注意を受けることがあるかもしれませんが、こういう子が中学生や高校生になると、とてもいい意見文を書くようになります。

 小学校の生活作文は、小説のような作文がよいという暗黙の前提をもとに評価されています。そのため、作文に、小説のような盛り上がりがあることが重視されるのです。

 しかし、これが、記録文や紀行文であれば、評価は自ずから違ってきます。

 一般に、男の子の作文は、データ重視の文章になることが多く、名前や数字などの事実をしっかり記録することに喜びを感じて作文を書く傾向があります。これに対して、女の子の作文は、会話やそのときの印象を書くというような体験と実感を重視した作文になる傾向があります。

 このため、小学校のころの作文の上手下手は、高校生の小論文になると逆転してくることも多いのです。


 とは言っても、小学校の段階で上手に書く方法ももちろんあります。

 第一は、小説を読む機会を増やし、小説の面白さを感じる中で、描写力をつけることです。

 第二は、自分のしたこと、特に、個性、挑戦、感動、共感の感じられる体験を作文に盛り込むようにすることです。

 第三は、両親に似た話を取材して、作文の話題を立体的にすることです。

 第四は、伝記実例など、読書の中から得た実例を入れて話題を豊かにしていくことです。


 しかし、いちばん大事なのは、小学校の段階で上手に書くことを目的にするのではなく、高校生になったときに上手に書く力をつけることを目的にすることです。だから、欠点を直そうとするよりも、その欠点と見られることの中にその子の可能性が隠れているのではないかという目で見ていく必要があるのです。

233-0015 233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9063
 
 同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 

 コメント欄
コメントフォーム

上手だが盛り上がりに欠ける作文を書く子の指導 森川林 20100605 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。 お名前(ペンネーム):

 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

受講案内の郵送(無料)をご希望の方は、こちらをごらんください。
(広告規定に基づく表示:受講案内の郵送を希望される方はご住所お名前などの送信が必要です)

電話通信の無料体験学習をご希望の方は、こちらをごらんください。
(無料体験学習をお申し込みの方に、勉強に役立つ小冊子をお送りします。)

Online作文教室 言葉の森 「特定商取引に関する法律」に基づく表示」 「プライバシーポリシー」