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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   古典と流行   UZI.SMG

 最近伝統や古典に回帰するという動きが、いろいろな方面で起こっている。着物が注目されたりするのは、欧米一辺倒だったライフスタイルに、日本の伝統様式を再注入するという試みの表れだ。芸術の分野でも、西洋画の技法を身につけた人が日本画も勉強して、独特の作品を作る人がいるなど、その傾向はある。特にそうした芸術家の話を聞くと、音楽にせよ絵画にせよ、日本人には日本人に一番合っているスタイルや空気があって、それを表現しようとするとどうしても日本の伝統に則らなくてはダメなのだという。しかし、そういう人は一流ならではといえなくもない。大衆が追いかける流行となると、やはり伝統よりも新しさが求められる。
 僕がよく思うことだが、都市景観においては日本の伝統はあまりにも無視されていると思う。町を歩いていても、マンションやビルがデザインもばらばらに乱立し、とにかくただ住めればよい町であると思ってしまう。最近では光ファイバーが通っているとか介護に適しているという点を売りにしている。しかし、街並みの美しさだとかその土地の歴史については触れもせず、買う人もそれほど気にしていないようだ。僕はもっとその土地にとって相応しい、つまり時間の連続性を損ねないような町を作って欲しいと感じる。
 ではどうすればよいか。そうしたときに、古典を紐解いたり、歴史を学ぶことが必要になると思う。かつてその土地がどのような歴史を持ってきたのか勉強したり、あるいは文学作品で描かれてきたその土地の姿を思ってみたりすることは、素晴らしいことだと思う。僕は時々、近所で地名とその説明の立札を見たり、地域の歴史のコラムを読んだりするのだが、それは何気なくすんでいる町の奥深さを知るのが面白いからだ。やはりそうした教養を学ぶだけの心の余裕を持てるようになれば理想的だと思う。
 確かに、建物が乱立し雑然とした街並みというのが、現代のその土地を良くあらわしていて独自性があっていいという考え方も出来る。現代の流行にも価値があるし、それはそれでいいかもしれない。だがもう少し、新しいものと今まで受け継がれてきたものとのバランスを考える余裕があってもいいと思う。歴史を振り返り、消化してから新しいものを見たほうが、より深みがあって面白いものになるだろう。古典回帰の流れは単なる流行に終始するのかもしれないが、少しでも古典に興味をもったり、古典の知識を得られるのならいいきっかけだと思う。

   講評   nane

 これは立派な文章!
 高校3年生で、「土地にとって相応しい、つまり時間の連続性を損ねないような町を」という意見はなかなか持てないと思うよ。少なくとも、先生が高3のころは、そんなことは思いもしなかったなあ(笑)。
 しかも、この意見が自分の体験に根ざしているところがすごいね。
 それぞれの地域には固有の歴史がある。しかし、戦後は開発優先で、地名なども「○○第一小学校」「○○南団地」と機械的につけてしまうことが多かった。これから、こういう伝統を無視したやり方には見直しが迫られてくるだろうね。
 「原因」又は「対策」というキーワードが入っていなかったので、構成に◎がつかなかったけど、第三段落の対策は、地に足がついている。地域の歴史の見直しなどは、これから必要になってくるね。
 安定した構成で、わかりやすい文章を書けるね。
 結びの5行に、「○○はAでなくBである」というような自作名言を入れてみよう。

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