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　　　手作りの良さ　　　ラブリー

　　手作りの良さ
すべてを機械に任せてしまうと、国民的な特色あるものがとぼしくなってくるが、手仕事だと民俗的な特色がこく現れ、品物がてがたく親切に作られます。人間の手には、信らいすべき性質が宿るのです。ここにおもしろい対比が見られます。一方では名などしるす気持ちがなく、一方は名を書くのを忘れたことがありません。要するに、一方は職人が作るものであり、一方は芸術家が生むものだからといわれます。職人の作ったものは平凡であり、芸術家の作るものは非凡であると思われるからです。品物が主で自分は従なので、いちいち名をしるそうとはくわだてません。
　機械で作る物は、作るのが早くて、量も多くて、値段も安い。手作りは遅いし少ないし高いし欠点ばかりだ。しかし、その欠点の中にも色々な物がこもっているのだ。作るのが遅いのは、じっくり作られているから、少ないのは、機械のように同じ物をたくさん作ることができないから、高いのは作った人の思いと時間がこもっている。手作りには欠点ばかりでなく良いところもたくさんつまっているのだ。
　私は、ニュースでユニクロが上海にもオープンするという話を聞いた。でも、これはあまりいい話ではないと思う。なぜなら、日本のものを外国に持っていってしまっては、その国のいい物の存在が薄くなってしまうからだ。この先、どんどん広まっていってしまったら、冬は世界中のみんながフリースとか、そういうようなことになってしまうかもしれない。世界中の人全員がまるで兄弟のように同じ服を着ることになってしまうのだ。それでは、その人の個性やオリジナリティがなくなってしまうのではないか。
　私の母は、手作りのお弁当袋やランチョンマットを作ってくれる。形は本を見たりしていても、生地やがらは母が選んでいる。星がらのとか、花柄のとか、たくさんある。それに、クリスマスが近付くと、『MERRY　CHRISTMAS』とかいてあるテープを貼り付けた赤と緑のお弁当袋を出してくれる。それも手作りだ。私はこのクリスマスお弁当袋を使うのが楽しみで、今も待ちくたびれているくらいだ。私がなぜこのクリスマスお弁当袋を使うのが楽しみなのかよくわからないが、多分母の思いがいっぱいつまっていて、世界でたった一つしかないからだと思う。だから、母に感謝しなければならないと思う。
　私は、この長文を読んで手作りは作った人の思いがたくさんつまっていることがわかった。一生懸命作ったものを、大事にして、手作りを守る努力をしていかなければいけないと思う。

　　　講評　　　nara


　１０月下旬の今から、クリスマスが楽しみ……そんな気持ちをラブリーさんが持っているという理由は、とても心あたたまるものだ。お母さんがこの作文を読んだら、きっと喜んでくれるよ。お母さんは、ラブリーさんの喜ぶ顔を見てうれしくなるだろうし、ラブリーさんはお弁当を食べるたびに、心が弾む。手作りには、作り手と使い手のお互いの顔が見えるといういい点もあるのだね。
　機械作りの特徴も、手作りの特徴も、ある角度から見るとプラスとして評価されるし、別の角度から見るとマイナスにもなる。これだけ機械作りが世の中にあふれたのは、それ以前の状況が、「なかなか大量にものができず、仕上がったものも不ぞろい。値段も高い。」という手作りのものに対して不満があったからだろうね。だから、「早く・大量に・安く」を追究した結果、機械の発達もあり機械製品が多く出回ることになった。そうなると、機械作りのマイナス点がクローズアップされてくる。これは、いろいろなテーマに応用できそうだ。
　いつもどおり、題材の選び方も適切だし、主題も明確。よくまとめてあるね。感心、感心。