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　　　余裕とユーモア　　　れもん

　第二次大戦の時、イギリスの主要都市は、ドイツ空軍の激しい爆撃にさらされたとき、建物を大破されたロンドンのあるデパートが、「平常通り営業。本日より入口を拡張しました」というカンバンを出した。イギリス人は、『ユーモアのセンス』というものには特別のプライドを持っているし、また、それについて敏感である。自動車のハンドルにあそびがあるからこそ、自動車を安全に運転することができるように、ユーモアは命を運転して人生をわたっていくのに欠かすことのできないものだ。ユーモアというものは、ユーモラスと感じるか感じないかというセンスの問題になるわけだ。（要約）
　私はこの話を読んで、ユーモアをそれほどまでに高く評価しない日本より、ユーモアを大切にするイギリスの方が良いな、と思った。長文に出ていたデパートの例でも、日本のような、「空爆のため、お客様にご迷惑をかけております。」だと、私には空爆があったからこんない被害を受けているという、戦争だと相手を喜ばせるように聞こえてしまう。それに対して、イギリスの「平常通り営業。本日より入口を拡張しました。」だと、余裕がある感じがする。それに、これは空爆でやられてそうなったのであって、別に自分達の失敗で迷惑のかかるようなことをしたのではないので、イギリスのようなユーモアのある書き方でも良いと思う。
　私の学校にも、ユーモアのある先生とユーモアのない先生がいる。ユーモアのある先生の授業だと、授業の時間があっという間に過ぎてしまうが、ユーモアの無い先生だとユーモアのある先生の授業の５倍ぐらいの長さに感じる。（体験）
　ユーモアのない先生の授業は教科書通りに真面目に教えている。ユーモアのある先生はもちろん、その授業で教えなければいけないことは教えるが、ただ真面目に教えるのではなく、例えを使い授業だということを忘れるぐらいに、笑わせながら授業をする。私の経験上、ユーモアのない先生よりある先生の方が、自然に勉強も頭に入っていく。私が知る限り、ユーモアの無い先生はだいたいまだ学校に来てまもない先生が多い。それに対してユーモアのある先生は学校に何年もいるようなベテランの先生が多い。このことからもわかるように、ユーモアがある先生というのは、生徒のことをよく分かっていて授業をするのにも慣れている余裕のある先生が多い。まさに「亀の甲より年の功」（ことわざ）だ。
　私はこの話を読んで、ユーモアというのは面白さだけではなく、余裕のある証拠だと思った。人間にとってユーモアというものは、自分らしさを表現し、自分にどのぐらいの余裕があるかを表すものだと思う。ユーモアのない世界はつまらない暗黒の世界である。

　　　講評　　　nara

ユーモアと余裕に深い関連性があるというところ、よく気づいたね。長文に対する感想と自分の体験談から結論を導き出すというスタイルは、れもんさんにとってしっかり身についた得意技のようだ。今回もよくまとめられたね。
　長文の例は、「相手を喜ばせるだけ」という指摘が鋭いなぁ。それとともに、悲しがっていても、目の前に起きてしまった不幸なことが消えてなくなるのではない。ユーモアをもってそれを乗り越えていこうという点も感じられるね。
　日本人はあまりユーモアを解さない、と長文にも述べられていたけれど、テレビなどでは人をいじめたりだましたりして「笑いをとる」というケースが見受けられるね。これはユーモアではなさそうだ。なぜなら、余裕があるのであれば、人をいじめたりだましたりする必要はないものね。上質な笑いとはどういうものかを、れもんさんも考えてみるといいよ。