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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本人も捨てたもんじゃない   キティ

日本人も捨てたもんじゃない
 それぞれの文化的カプセルにつつまれて生活するのが快適なのだ。「文化」というのは、そういう性質のものなのである。日本人だけが「文化」の皮膜にかこまれていると考えるのは、まちがいだ。
例えばアメリカ人やフランス人なども同じように自国の文化を持ち歩いているではないか。おそらくひとつ問題として残るのは、皮膜の強度の問題であろう。日本人の場合、とりわけその「文化的カプセル」の外皮膜がかなり強く、それを内がわから破ることをあまりしたことがないように思えるのだ。(要約)
 自分の身体を動かすことは大切である。旅はそれを実現するひとつの方法である。
日本人はいつも海外旅行をする時、『文化カプセル』から出ようとしないという。だが、日本人と一口に言っても、いろいろなケースがあるだろう。個人旅行や団体旅行の場合、若い人、中高年、・・・と様々にケースが違ってくる。自由な旅なら、ホノルルの『家庭訪問』も OKだが、個人でも中高年の場合は、ホノルルの家庭に気を使って参加しないだろう。団体旅行で中高年の場合は、なお難しい。こう考えていくと、いかに『日本人』とは・・・と定義することの難しさが分かる。
 私がもし個人旅行でホノルルへ行っていたら、きっと『家庭訪問』に参加していただろう。私もバスの窓からただ景色を見るだけではなく、そこの人たちの暮らしも見てみたい。そこにしかない伝統的な料理も食べてみたいし、言葉も教えて欲しい。現地の人たちとどんどん喋ってみたい。(体験)
 実は、日本人も捨てたもんじゃないのだ。日本人にとって、時々文化と常識がひっくり返って感じることのある外国。二〇〇三年七月現在の日本人出国者数は六百七十六万人。それに対して訪日外国人の数は二百二十七万人だ。日本人が外国へ出国している数の方が、外人が日本に入国している数より三倍も多いのだ。外人も自分の国を出て旅行はしている。だが遠い東洋にはやはり来ていない。遠いし、お金もとてもかかるということもあるだろう。だが、東洋には全く興味を持っていないという人が多いのではないだろうか。なぜだろう。それはやはり漢字を含む言葉の壁だ。日本人は中学生の頃から、アルファベットを習っている。だから外国に行っても少しは何が書いてあるかが分かる。外人は漢字を見るだけで、もうだめだと諦めてしまう。完全なアレルギー状態だ。外人は街の看板になにが書いてあるのかさっぱり分からない。だからなるべく東洋には近づかないのだ。日本人は『文化カプセル』から出ようとしないというが、実は日本人は国外の人々と仲良くなれるよう努力をしているのだ。つまり日本人は、日本へ出掛けようともしない外人に比べれば、まだ初めの一歩は踏み出しているということになる。たとえ梅干しやのり、インスタントラーメン、電気釜を背負っていても、そんなことは笑って許せるのだ。
 日本に行った時、私もやはり自分なりの『文化カプセル』の中に入っていたと思う。初めはただの飾りだと思っていた伊勢エビが出てきた時、お母さんはそれをもりもり食べていた。ビックリしながらもう一度伊勢エビを見ると、“お願い、食べないでね”と小首をかしげて切なそうに私を見ている。照明の具合で目がキラキラ光って見えた。私はそれ以上目を合わせないようにお皿を斜めに動かした。すると伊勢エビは誰もいない席に向かって同じポーズをとっていた。そして彼はまもなくお母さんに食べられた。今思えば食べれば良かったな・・・と、少し後悔している。

   講評   yuu



 初めて訪れる場所で感じる緊張感は誰しもあるものです。マリアちゃんの最も身近な社交術の師匠・お母様も感じる緊張感であるに違いありません(^^*)  しかしこのとき、緊張した気持ちのまま「カプセル」をどんどん頑丈(がんじょう)に塗り固めていってしまうか、緊張のカプセルを少しずつ薄く削っていくかで大きな違いが生まれますね。
 日本に遊びに来たマリアちゃんは好奇心と強い関心を持ってカプセルを取り払ってくれていたよね。けれど、伊勢海老の姿、視線(笑)にはカプセルを強固にしてしまったようです。
 生活している環境、文化は想像以上に我々の心理を左右するものだということが分かりましたね。ものの好き・嫌いも、ほとんどこの要因で決定付けられてしまうのかもしれません。
 異文化の中でも、とくに日本人が大きな壁だと感じているのが言葉の違いでしょう。言葉が通じない=気持ちが伝えられない=教えてもらいたいことがあっても聞くことさえできない=相手が何を言っているのか分からない⇒混乱・困惑・不自由・恐怖 となるわけですね(笑)!
 カプセルを持っている日本人への警鐘(けいしょう)のつもりで作者はこのお話を書いたことでしょう。ところが、マリアちゃんはまったく新しい視点から、逆に日本人を擁護(ようご)する立場で論じてくれています。作者にこの作品を読ませてあげたいなぁ……と思うほどです。日本人の諸外国への好奇心はますます強くなり、もはや世界中どこへ行ってもいるのが日本人と中国人、という時代です(汗)
 コンパクトに、しかし読み応えのある大変すばらしい論述になりましたね。ステキなお話だね。ありがとう!
                       

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