対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

昨日2259 今日309 合計5181
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   自然に帰る人間たち   キティ

自然に帰る人間たち
 西洋と日本の宗教の大きな違いは、前者が排他的な一神教であるのに対し、後者は多神教というところだ。日本の宗教は地上のあらゆるものに神々が宿ると信じていることから、山や川までが素朴な信仰の対象になっている。その象徴が、集落を囲む里山の一角に必ずあった、鎮守の森である。今でいえば保存林にあたる聖域でもあった。日本では長い間、農耕地からの「刈り取り」と里山からの必要な分だけを求める「摘み採り」によって人びとの生活が成り立ってきたのである。(要約)
 現在の日本では、まだこの「刈り取り」と「摘み採り」方法は守られているだろうか。私は守られていると思う。なぜなら日本には里山がまだ残っているからだ。しかし、御伽噺「桃太郎」のおばあさんも今では洗濯機で洗濯物をガンガン洗っているだろう。おじいさんもわざわざ山に薪取りに行かなくてもセントラルヒーティングのボタンを押せば、自動的に床が暖かくなる。それでも、里山のどこかで今でも川で洗濯をし、山まで薪取りに行っている人々がいるかもしれない。
 里山を見たことがある。ある村にきれいな川の水がたまった小さな池があった。水はとても澄んでいて夏でも冷えている。冷蔵庫がわりに野菜や果物がプカプカ浮いていて、太陽に照らされながら光っていた。おばあさんたちは洗濯物を大きなかごに入れて、池まで歩いてきた。池は集会所にもなっている。
 昔、里山は人間が生きのびるための宝の山だった。現在の私達は里山を他の方法で利用している。たとえばグリーンツーリズム、田舎を楽しむ旅などだ。東京などの大都会、自然がほとんどないところでたくさんの人間は生きのびている。東京に住んでいる家族連れの多くは、旅に出るとしたら田舎を選ぶだろう。人間はやはり自然に帰りたいのだ。それは日本に限らず世界中のブームになっている。私もグリーンツーリズムを体験してきた。
 私はオーストリアの自然のど真ん中に住んでいる。日本でいうなら北海道の富良野のようなところだ。それなのにこの夏、私達はイタリアのさらに不便な田舎に行ってきたのだ。別荘は山の奥深くにぽつりとあった。商店までは車で二十分、洗濯機はなかった。夜はタヌキやキツネ、イノシシなどが出てきたので、生ゴミを外に出すことができなかった。オーストリアの田舎に住んでいる私達が、さらにここまで来ることにどんな意味があるのだろうか。それは人間は里山をなつかしむ習性があるからだ。自然への畏敬の念を感じずにはいられない。
 西洋にも里山が舞台の『アルプスの少女ハイジ』という物語がある。歩けない少女クララは自然のアルプスの力に助けられて、また歩けるようになった。自然は人間を元気にさせる力をもっている。里山は古今東西、人間を豊かに育ててくれるのだ。

   講評   yuu



とても1200字以内の作文とは思えぬほど充実した内容の作品になりましたね。1200字以内ということは原稿用紙3枚に収まるいうことだね。一般的に小論文というと、これくらいの長さのものを言います。論分やレポートというと、逆に何千字以上という場合もあるので、ずいぶん長作になるはずです。
今ごろのオールトリアの天候はいかがでしょうか? 日本では今年はずいぶん暖かい冬を過ごしています。私の家族(の私以外^^;)はスキーが大好きなので、早く雪が降ってくれないだろうかと毎日天気予報の全国版(日本の全部の天気予報)を見ています。もちろん、ここ横浜では年に数回しか雪が降らないので(だいたい1月か2月に、多くても2〜3回です)北の地方の天気予報を楽しみに見ています。「今年はなかなか雪が降らない! 困った、困った……」と母は言っています(笑)。
スキーにあまり行く機会のない私ですが、それでも雪を見ると嬉しくなります。北国に住む人々にとっては当たり前の景色なのでしょうが、雪に慣れていない私は、普通ではないその光景にドキドキしたりするのです。
そういえば、高層ビルや車や人の多い場所に慣れすぎてしまっているなぁと感じます。
「アルプスの少女ハイジ」に登場するクララが、大自然の中で朗らかな人間たちと過ごしていくうちに病を克服したことも、決して不思議なことではないような気がしてきました。
マリアちゃんの住む町には多くの自然がのびのびと広がっているのでしょうね。とてもうらやましいな、と思います。
マリアちゃんの作品を読むと、いつも多くの発見があり、そして多くの疑問や課題を考えさせられます。また一つ素晴らしい意見文が増えましたね! そう言えば、冬山のスキーのお話が前にありましたね。今年もスキーレースがあるのかな!? 楽しみですね♪


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)