対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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競争の大切さ うなろ
真夏の強い日差しの下、白球が真っ青な空に舞い上がり、それと同時に大歓声と悲鳴が鳴り響く。緑の蔦に覆われた甲子園球場で展開されるこのような光景から、セミの声が響き渡っている日本の猛暑を連想する人も多いのではないだろうか。しかし、なぜ人々はこのように甲子園に魅了されるのであろうか。そこには一回負けたら球児の三年間の全てが失っわれてしまうという、滅びの美学のようなものがあるからではないだろうか。近年、ライオンなどの肉食動物がシマウマなどの草食動物を狩る姿を求めてアフリカに旅行に行くツアーが人気である。このツアーに参加する人たちとも共通する部分があるのかもしれない。
全ての生物にとって、自分の物を他者に取られることは幸福なことではなく不幸なことである。特にもっとも大事なものである生命となればなおさらのことであろう。しかし、他者がその大事なもの(甲子園球児の三年間やシマウマの生命など)を失う瞬間に魅了されることも事実である。これは、大事なものを賭けて戦うことの快感を潜在的に知っているからではないだろうか。頻繁に大事なものを賭けて戦うことの出来ないため、我々はこのような機会に疑似体験しているような気がする。しかし、我々は疑似体験をするのではなく、実際に勇気をもって大事なものを賭けて生きていくことも必要であるように思う。
第一の理由は、競いながら生きていくことが人々の向上心を生み、楽しい勤労生活を生むからである。厚生労働省による統計によると、入れ替わりの激しいプログラマーや出世競争の最前線にいる管理職などの能力開発意欲が、競争の少ない警備員や個人教師の意欲よりも非常に高いと言う結果が出ている。(データ)彼らは、競いあうことにより互いに能力を高めあい、仕事に対しても意欲的になっているのではないだろうか。
第二の理由は、敗れる可能性の無い競争や人生はつまらないと思うからである。私が小学校の頃、体育の水泳の授業で時々クラスを二つに分けてリレーを行った。あるとき、出席番号の奇数と偶数で分けたのだが、そのときに我々のチームが相手のチームよりも非常に強くなってしまった。この時のレースは泳ぐ前から勝ち負けがわかっていたため、どちらのチームも真剣に泳がず、非常につまらなくなってしまったのである。このように、負ける可能性のない競争はつまらないのである。
確かに、安定を得ることは心地よいし多くの人が望むことである。しかし、緊張感の中にある一時的な安定が快適なのであって、人生全てにおける安定は快適ではなく退屈なのではないだろうか。人類は卓越した頭脳により食物連鎖から抜け出したばかりでなく、食物連鎖により得られる生存競争という快感を他者により疑似体験することを覚えてしまった。しかし、疑似体験は所詮擬似にすぎず、実体験には及ばない。生物が生きると言うことは、呼吸をし食べ物を食べるということではなく、各々の全てを賭けて様々な厳しい生存競争を勝ち抜くということなのである。その結果、我々は生き生きとした顔になり、充実した一生へと繋がっていくのではないだろうか。スタンドから白球を目で追うよりも、自らがグラウンドに出てバッターボックスに立った方が楽しいのである。
講評 nane
今回の作品も力作。
書き出しの情景はこのようにきれいなものだと印象が更に強くなります。
厚生労働省の統計はいいものを探しましたね。仕事というのは、人生のかなりの部分を占めるので、どういう職場で働いているかということは、その人の人間形成に大きな影響を及ぼすでしょうね。数字などがあれば入れておくといいと思います。
体育の水泳の話もいい実例。社会的な話と個人的な話に広がりがあるところが特にいいですね。
「緊張感の中にある一時的な安定が快適なのであって、人生全てにおける安定は快適ではなく退屈なのではないだろうか。」は一種の名言になっています。「生物が生きると言うことは、呼吸をし食べ物を食べるということではなく、各々の全てを賭けて様々な厳しい生存競争を勝ち抜くということなのである。」も名言。「スタンドから白球を目で追うよりも、自らがグラウンドに出てバッターボックスに立った方が楽しいのである。」も、書き出しに対応したいい結び。
第二段落と第三段落の実例は、話が具体的で面白いので、清書のときにユーモア表現も入れておくといいと思います。
今回の試験は合格です。
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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