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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   私のしているスポーツ   ポッター

私のしているスポーツ
                            ポッター   
 「ヨーイ、ドン!」
 「ダダダダダダ」
 「七、五八。八、二〇。」
 今、私は短距離走のタイムを計っている。私のしているスポーツは、バスケットボール、野球、サッカー、陸上(その他多数)と多くあるが、その中で最も好きなスポーツが、陸上である。
 私は小さい頃から、走ることが大好きだった。運動会では毎年一番で、一等の赤いゴム(リボン)がうでにキラキラ光り輝いて見えた。それからも毎日欠かさず一時間以上走り続け、テレビのコマーシャル(CM)の時間には腕ふりをものすごい勢いで十回以上ふり続け、腕をどんどん磨いていった。それほど、走ることが大好きだったのである。
 私の中で、陸上は何といっても得意分野だった。毎日欠かさず走り続けることが大好きだった。けれど、一年生の時の運動会で、初めて『上には上がいる』、ということを知った。
 「プログラム三番、一年生による、短距離走です。(以下省略)」
私は前から五十六番目に走る走者だった。私はこの短距離走に、ぜったいの自信を持っていた。『今年も一番をとるゾ!』と、心に決めたのだ。
 そしてとうとう、
「五十六番目の人−! 早く並んでー!」
と、私の走る番がまわってきた。私は二コースの位置に着いた。
「位置について−、ヨーイ!」   「パン!!」
私は音と同時に走り出した。走り出したというよりも、足が勝手に前に出ていくような感じだった。それは今でも、ハッキリと覚えている。最初の方はトップを切って走っていた。しかし、途中から三コースの人と争い、けっきょく最後は三コースの人と同時にテープを切った。結果は審判の判定で、三コースの人が一位、私は二位という結果で終わった。
 私はこの時、くやしくてくやしくて、何も言葉が出なかった。生まれて初めて知った敗北。その日から私は、走ることをやめた。『走っていても、何もいいことなんかない。走っていたって、何も変わらないんだ。』と思い始めたからである。誰かがほめ言葉を言っても、誰かが『もう一度走れよ』と言っても、誰が何を言おうと、けっして走ろうとしなかった。
 しかし、そんな私をもう一度陸上の世界に引き込ませてくれたのが、いつも毎朝マラソンで会っていた、一人の高校生のお兄さんだった。
 ある日の夕方、いつも走っていた道を歩いていたとき、ふいに後ろで、
「あれ? ミヤちゃん?」
と、聞き覚えのある声がした。振り向いてみると、そこにはあの高校生のお兄さんが立っていて、
「あ、やっぱりミヤちゃんだ。」
と言って、ニッコリと笑った。私は何だかうれしくなってきて、いつものおしゃべりを始めた。そしていつの間にか、走り出していた。
 いつも少し休む公園に行って、ベンチに座った。するとお兄さんが、
「そういえばミヤちゃん、どうしてこのごろ、走りに来てなかったの?」
と言った。私は突然の質問に、答える言葉がなかった。けれど、またいつの間にか、運動会で負けてしまい、走らなくなった理由を話していた。私が話している間、お兄さんは真剣な表情で、私の話を聞いていた。話が終わると、私もお兄さんも黙り込んでしまった。しばらくしてお兄さんが、ゆっくりと口を開いた。
「そっかー、それは残念だったね。でもミヤちゃん、陸上をやめるのは、まだちょっと早いんじゃあないかな?」
「どうしてですか? もう二度と走らないって決めたのに。」
「うん…、でもさっきミヤちゃん、オレと一緒に、走ったよね?」
「……、あ。」
「…、ということは、まだ走る気があったっていうことだよね?」
「…、はい…。」
「ほら、まだ走る気あるじゃん。だから、まだ陸上をやめるのは早いよ。」
「で、でも…。」
「さ、休みすぎちゃった。走ろうか。」
そのままお兄さんは立ち上がり、いつものペースで、いつもの姿で走り始めた。その後ろ姿が、まぶしいくらい輝いて見えたのが、いまだに目に焼きついている。私はその背中を追いかけながら、『もう、陸上をやめるなんて言わない。もう一度、やりなおそう。』と思った。
 これが私の陸上が好きな理由。私はいろいろなことを教えてくれて、私をもう一度陸上の世界にひきいれてくれたお兄さんに、とても感謝している。そして、明日も走り続ける。

   講評   inoko

ポッターさん、こんにちは。楽しい冬休みを過ごしていますか? よいお年をお迎えくださいね。

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