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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   多数決か話し合いか   あめす

 イスラエルを旅していたとき「ここでは全員一致の採決は採用しないんですよ」と聞かされた。なぜなら、皆が熟慮せず、いいかげんに答えている場合がある。また反対意見を素直に言い表せない状況が、そこに伏在している場合もあるそうだ。さらに、あまりかんばしくない根回しがおこなわれている場合もあるという。イエスの中にもいろいろなイエスがあり、ノーの中にもいろいろなノーがある。自分の心中にたずねてみて、百対〇の確信でイエスが言える場合もあれば、五十五対四十五で辛くもイエスに傾いているときもある。その内容はとても複雑だ。わずかな迷いをどう考えるか、この世の悩みはそこにあり、このように考えてみると、全員一致を排除するパラドックスも大いに意見をもつように思えてならない。
 確かに、物事を多数決で決めることは大切である。この前、体育の授業で何をしたいかを多数決で決定した。選択肢は、サッカーかハンドボールだった。多数決にすると、ほぼ半々に分かれていた。しかし、多数決なので、結局サッカーの方が二人ぐらい多かったのでサッカーに決まった。物事を決めるときに多数決でやると、一人しか差がなくても決めることができる。そういう点が非常に便利だと思う。選挙も多数決と同じだと思う。一票でも票を多く入れてもらった人が当選ということになる。先日、僕の住んでいる市で市長選があった。六人も立候補していたので、かなり接戦となったが、やはり票数の多い方に市長は決まった。こういう点では本当に役に立つと思った。
 しかし、多数決ではなくじっくりと話し合うことも大切だという考えもある。以前、僕の友達が「少数派の意見を聞くことも大切だ」と言っていた。多数決だけでは、人数の多い方の話を聞いているだけである。案外、少数派の人の意見の方が的を射ていることがある。
 童謡の「北風と太陽」では、勝負の決着をつけるためにはどうするかを、しっかりと話し合って決めていた。とても重要なことだと思う。もし、北風と太陽が話し合わず、勝手にお互いに攻撃しあえば大変なことになっていただろう(笑)。「真によいことは、新聞に大きな騒ぎを起こすことなく、小さく始まる」という名言があるように、騒いだりせずじっくりと話し合わなければならない。
 多数決で物事を決めることも、話し合いで決めることも必要である。「家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである」という名言があるように、大切なのは、相手の意見の真意をつかむことだと思う。相手の意見を理解せず、多数決をしたり、ただ単に話し合うだけではまったく意味がない。しっかりと、相手の意見の真意を理解してこそ、多数決や話し合いをすることができる。

   講評   mika


  雅貴くん、「多数決」と「話し合い」について、それぞれの利点と欠点をじっくり考え、作文にできました。多数決は、物事の即決にとても便利だけど、そればかり注目すると、見落としてしまうものもありそうですね。そんな気付きを「友人の言葉」を通して書いている部分が、よかったですよ。また、多数決の有効例として「選挙」を出せたのも、適切ですね。
  作文を書いているうちに、雅貴くんも気付いたと思いますが、物事には「多数決で決めて良いこと」と、「多数決で安易に決めてはいけないこと」がありそうです。何かみんなで決断せねばならなくなったとき、これは「そのどちらなのか」をしっかりと考えられる人に、先生もなりたいと思います。
  得意の童話の引用が、今回も冴えていましたね。これは、もう「北風と太陽」童話解釈シリーズ(?)になりそうね(笑)。このような自分らしい視点を、これからも大切にしていきましょう。総合化の意見も、意見AとBの折衷案ではなく、良いものが書けています。
 「題材」と「総合化の主題」も、しっかりできていました。◎を入れておきますね。書き終わった後は、慌てずにもう一度、キーワードの確認をしてみるといいですよ(笑)。
(語句について)
・しかし、→この差は、わずかだ。しかし、(こんな風に一言、補ってみよう)。
・多数決ではなくじっくりと→多数決ではなく、じっくりと(読点)。
・童謡の→童話の(「題材」のキーワード)。
(欲張りヒント)
「真によいことは、新聞に大きな騒ぎを起こすことなく、小さく始まる」という名言を、この作文に引用したのは、とても適切ですね。でも、作文のどの部分に入れたら良いのか(効果的なのか)を、再検討してみましょう。「北風と太陽」の話の後よりも、「少数派の人の意見の方が的を射ている」という話の後の方が、適当だろうと先生は思います。どうかな?

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