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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   価値観は違う   あめす

 文化もパーソナリティも、多くの場合に少しずつ変化し、ときには大きく急速に変化しうるものである。われわれの支配者は、かつてようにはっきり目に見える権力者として君臨しているのではなく、文化のコードという無名の支配者は、朝から晩までわれわれひとりひとりの全存在を直接・間接に支配しつづけているようだ。自分自身が欲していると思うことも、それは幻想にしかすぎない。みなが欲しているがゆえに、常識を身につけている自分が無意識のうちに欲するようになってしまっているものであるにすぎない。われわれは無意識のうちにできるだけ文化という「人の手」の加わらない自然の中に逃れるか、「非社会」的行為の中にかりそめの脱出を試みて、すさまじい搾取からすこしでも身をまもろうとすることになるのかもしれない。海や山の「自然」の中でも、流行の登山装備や水着、さまざまな人との出会いがあり、文化的なものを完全に拒んでしまうのは不可能である。
 確かに、自分の価値観に従って生きることは大切だという意見がある。僕は、中学生だから学生服を着て学校生活を送っている。「学生服を着る」と一言で言ってもいろいろな着かたがある。学ランのボタンをしっかりすべてとめて着ている人もいれば、第一ボタン、第二ボタンを空けてきている人もいる。また、カッターシャツをズボンの中に入れている人もいれば、カッターシャツをズボンに入れず出してきている人もいる。みんな、自分の価値観に合わせて、同じ学生服をいろいろな着かたをしているのだ。僕自身、人に合わせず自分の価値観に従い、学ランのボタンをしっかりと閉め、カッターシャツをズボンの中に入れて、見た目だけはまともに見えるように着ている(笑)。
 しかし、その時代の価値観に合わせて行動することも大切だという考えもある。例えば、この平成という時代に、髷を結っている人は相撲取り以外だれもいない。髷を結っている一般人が街中で歩いていたら、思わず振り向く。なぜ振り向くのか。なぜなら、平成という時代の価値観にみな合わせているから、髷というものは過去の産物なのだ。また、日本で他文化の民族衣装を着て、街中を歩いていたら、思わず驚いて振り向くだろう。もしかしたら、携帯電話のカメラで写真をとる人も出てくるかもしれない。なぜ振り向くのか。日本という場所で、他文化の民族衣装を身にまとっているからである。簡単に言えば場違いである。
 江戸時代末期のころに、ペリーたちが黒船で日本に開国を迫りに来航した。(昔話)そのとき、日本人たちは黒船に驚いたという。なぜなら、日本にある船とは機能が断然優れていたからである。僕がその時代に生きていれば「この人勝ちは未来からきたのかぁ!?」と思っていただろう。
 確かに、自分の価値観に従うこともその時代の価値観に合わせて行動することも大切である。だが、一番大切なのは、「未来には、ひとりでにできる未来と。自分で作る未来との二つがある」という名言があるように、二十一世紀を僕たちがつくる時代なのだから、二十一世紀だけつくるのではなく、そのときの価値観をもつくらなくてはならないと思う。(総合化)

   講評   mika


  雅貴くんおめでとう。進級テスト合格です。一見、ややこしい長文でしたが、「文化のコード」とは何かを、自分なりに良く理解し、要約することができました。このように無意識のうちに、私たちの価値観は、「今、自分が生活している社会」からの影響を受けているものなのですね。これは、とてもおもしろいことです。また、これに気付くだけでも、自分自身をより客観的に見つめることができるようになると、先生は思います。
  さて、第二、第三段落の体験例では、身近な「服装」の話を取り上げ、雅貴くんの考えをしっかり書くことができました。「制服」という制限の中で、それぞれが個性を出すことの大切さも伝わってきましたよ。また、時と場合によって「人目をひく服装」が変化するという気付きも、良いものです。
  キーワードもしっかりと入っています。作文を書きながら「ものの見方や考え方」を、どんどん育てていきましょう。この調子!
(語句について)
・なってしまっているものであるにすぎない。→なってしまっているのである。
・身をまもろうとすることになるのかもしれない。→身を守ろうとするのかもしれない。(それぞれ、言い回しを整理しよう)。
・「学生服を着る」→しかし、「学生服を着る」(接続詞)。
・空けて→開けて(「開く」の意味の場合は、この漢字)。
・日本にある船とは→日本にある船に比べ
・人勝ちは→人たちは(タイプミス)。
・二十一世紀を僕たちがつくる→二十一世紀は僕たちがつくる
(欲張りヒント)
「二十一世紀だけつくるのではなく、そのときの価値観をもつくらなくてはならないと思う。」という、総合化のまとめ、高次のものになっていますね(いいですよ!)。でも、「二十一世紀だけつくるのではなく」という表現では、ちょっと抽象的かな(笑)。そこで、雅貴くんの心に浮かんだ「目的語」を、この文章に書き足してみましょう。二十一世紀の「何」を作るだけではなく、その時に「価値観を」創っていかねばならないのか。(「新しい科学技術」など、「物質的に豊かなもの」が、この部分に当てはまりそうですね。)

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