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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   逆転   聖羅

 あと五メートル、三メートル、一メートル・・・
「やった!」
私はその瞬間一人を抜いたのだった。
 運動会まであと三週間というころ、運動会最後の競技、『クラス別対抗リレー』の選手発表があった。私の学校は紅白戦ではなく、三学年のクラス対抗で行われる。一年一組、二年一組、三年一組を一つのチームとしてクラスカラーが決まっているのだ。そして各クラスの男女一人がそのクラスの運動会クラスリーダーとなってクラス、そして学年を引っ張っていくのである。リーダーは、種目のチーム決め、戦略などを考える重要な役割でもあった。リーダーに選ばれた子は、私とはあまり仲の良くない子であった。とても勝気で、負けず嫌いで私を目の敵にしているようだった。五十メートルのタイムを計った時、わずかな差で私が勝ってしまったからである。そうして『クラス別対抗リレー』の発表。私はクラスの女子の中で一番速かったため、絶対なれる。と確信していた。けれども、一クラスにつき男女二人ずつという少ない人数なので多少は不安もあった。掲示板を見ると唖然としてしまった。リーダーの子と、その子と仲のいい女の子の名が書いてあったのである。その子は足の速いほうだったが、クラスの中では速い方から数えて八番目くらいであった。その結果に、私はもちろんクラスの女子、そして普段女子に口を挟まない男子さえも疑問を持った。しかし、一番怒ったのは、もう一人選ばれるはずだったKさんだった。その子はクラスのリーダー的存在で、実際に運動神経も良かった。結局、先生が仲介に入り、クラスリーダーが決めたことは絶対だ。ということで掲示板通りになってしまった。『無理が通れば道理ひっこむ』ということわざ通りの結果になってしまった。
 本番一日前のリハーサル。一応全種目をやり、相手チームの動きなどを見て、最終的に順番などを変えたりする。ある意味ここでの作戦が一番勝敗に関わるのである。私の組は宿敵赤組と一位二位の接戦だった。しかし、一番最後のリレーで、百点差というものすごい大差をつけられて負けてしまった。
 その日、リーダーの子から私とKさんが呼ばれてこう言われた。
「『クラス対抗リレー』の選手になってほしい。」
と。後から聞いた話だが、学年リーダーとの会合で、勝つためにはそこを変えなければならなかったという。それを聞いた私は家に飛んで帰り、父と母にそのことを伝えた。そのとき憂うつだった私の心が期待と満足感で満たされた。世の中には理不尽なことがたくさんある。けれど、希望さえ持っていれば正しいことが必ずおこる。だから希望は捨ててはいけないのだ。
 そして本番、やはり赤組との接戦の繰り返しだった。
「これはいけるかもしれない!」
誰もがそう思っていた。そしていよいよ最終種目が始まった。私の順番は八番。私の一人前の時点で五位中三位。残るは三人なのでどう考えても私が二位にならなければ一位は無理だった向こうから来る三年生、バトンの受け渡しは成功。そして走った。前を走っている選手とあと五メートル、三メートル、一メートル・・・
「やった!」
私はその瞬間一人を抜いたのだった。

   講評   takeko


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