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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   表現を味わう言葉   うさぴょん

「桜前線」という言葉があるが、この言葉はいただきかねる。季節感は微小感覚のものだからである。その点、昔からある「花便り」は、「つぼみふくらむ」「ちらほら咲き」など微小感覚を表し分けて、風情に富んでいる。しかし、一ひら一ひらとはなれてゆく花びらの様子、○○○てゆく花びらのありさまをいう動詞は、ぴたり、とゆくものがない。
 私も○○○てゆく花びらの○○○部分を考えてみた。なるほど、なかなか良いものが浮かばない。しかし、筆者の考えた「漂う」はなかなか合っていると思う。人によって受け取り方が違うのだとつくづく思った。他にはないだろうか。○○○の部分には当てはまらないが、こんな感じなのだろうと私なりに解釈した。ゆるりとゆったりと、あちらへいきこちらへいき、まるで迷っているかのように散っていく。こういうことではないか。母にも良いものがないかと聞いてみた。母は、
「舞い散る。うーん・・・・・・。そうねえ。ああ、舞い降りるはどうかしら。」
そうか、舞い降りるとはなかなか、いや、ぴたりとくる。筆者に教えたらいいかもしれない(笑)でも、なぜ母は、舞い散るにしなかったのだろうか。
そこを尋ねてみた。
「散る、だと物理的に寿命が来てただ落ちてるって感じがするけど、花びらには意志があるような気がしたからよ。降りるって言った方がもっとよりよく感じが表せるとも思ったわ。」
なるほど、母はまるで詩人のようだと感心した。
 ところで、もし、自分の言いたい・伝えたい表現を見つけられなかったときや見つけたとき、どうだろうか。私は、そのような表現が見つからないことが何度もある。もどかしく、歯がゆい気持ちだった。今も、この気持ちを
もっと分かりやすく、伝わりやすく、共感できるような表現を探したが見つからない。何というのだろう。経験のある人には分かるかもしれない。では、見つけたときはどうだろう。例えば、「春の海終日のたりのたり哉」という与謝蕪村の俳句。この、のたりのたという表現、最初は不思議に思った。あまり耳にしない、つまり聞いたことがないからである。のたりのたりというのは、波がおだやかに流れる様子をぴったりと表しているのではないか。この表現を見つけたとき、きっと、
(おお! なんとぴったりなのだろう。)
と感動したはずだ。また、穏やかという様子を私は、ひねもすというところからも感じた。なんとなくゆったりしているような気がしたからである。また、「終日」と「ひねもす」、つまり、漢字とひらがなではまた少し違うような気もする。漢字だとなんとなく堅いように思う。日本語は奥が深い。
 日本語には様々な表現があり、未だ見つからないものもある。また、それとなく感じさせるものもある。こんな風に日本語は色々な面を持っているなあとおどろいた。そして、自分がこの言語を使っているのが少し誇らしくなった。
 人間にとって言葉は、何かを伝えるだけのものではなく、表現を味わうものでもあるという多種多様な面を持つものだ。

   講評   nara

今、日本語というくくりの中に入っているものには、「やまとことば」「漢語」「西洋語」と、ルーツがいろいろとある。「ひねもす」と「終日」だと印象が違うのも音感・ルーツに関係しているのかもね。
 日本語の奥の深さは、ふだん使っている私たち(ネイティブスピーカー)には気づかないことも多い。言われてみて「そういえば……!」ということもあるね。これからも、アンテナを高くして言葉に対する感覚を磨いていこう。

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