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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   心のある人間   ヘノチャ

自分以外に人間の感じる痛みを私達は同じように感じることが出来ない。痛みを感じようとしてもそれは想像上の痛みでしかありえない。しかし、そうやって相手と共感しようと努力することが心ある人間を育てる。私は、相手の気持ちを理解しようとしない人が増えることは問題であると思う。 
 原因を考えるとまず浮かんでくるのが、経験の不足だと思う。いじめられたことがない人がいじめられたことのある人の気持ちを想像したり、風邪をひいたことのない人がひいたことのあるひとの気持ちを想像したりすることは少し難しいことだと思う。それと同じように、経験が不足することで相手の心境を理解することが出来ずらくなっているのだと思う。中学校の頃、特別教育活動という分野の学習で、目の不自由な人の気持ちを知るため、目隠しをして友達に手を持ってもらった状態で校内を歩いてみたことがあった。もちろん、それまで、目が見えなくなったこともないし、想像したこともないので、私達にとっては経験したことのない体験だった。目の前は真っ暗で、壁との距離感もわからず、誰がどこにいるのかもわからない状況で私は始めて目の不自由な人が常に感じているであろう不安と恐怖を知った。深く考えてしまうと結局、本当にその人たちの気持ちを理解することは出来ないだろうが、すこしでも理解しようと試みることが大切なのだと思う。
 次に考えられる原因は、孤立した生活が誰かを思いやる気持ちを育てないためだと思う。一人で家にいると、好きなテレビを勝手に見たり、リビングでごろごろしていたりしても、誰の迷惑にもならないし、誰も叱らない。そのため自己中心的な人間を作ってしまうのではないかと思う。人に言われて初めて気づくことがあるし、人が言ってくれたから勇気づけられることもある。外にでて、人と触れ合うことが必要だ。
 確かに、本当に他人の気持ちを理解することは出来ない。でも出来ないからといって、気遣うことも忘れてしまうと、人間関係は軽薄で愛情のないものになってしまう。自分が苦しんでいるときに、私達が誰かに求めるのは、同じ様な気持ちになって、一緒に苦しんでもらうことではないと思う。私はそういう時、勇気付けたり、励ましてもらいたい。逆にいえば、同じような感情でないからこそ客観的視点で、アドバイスをしてもらえるのではないか。全てをわかって挙げられなくても、相手を良い方向に導いてあげることが思いやりであり、心ある人間のやることだと思う。

   講評   kamono

ああ、良い文章ですね。わたくしのよく読んだものに、池波正太郎がありまして、このあいだ、いろいろな池波作品から、言葉を集めた「おもしろくて、ありがたい」(PHP刊)を図書館で借りて、見ていたら、「男の生き方」というところに、
<男も女も共通していちばん大事なことがあるんだよ。「人の身になって考える」ということがね、できる人がいちばんいいわけだよ。これがなかなか、口でいうのはやさしいが、できないことなんだけどね>と、ありました。そのとおりですね。
それを、きちんと書いてくれました。そうなれないのは、経験不足だ、と言って、目の不自由な人を体験する例を持ってきました。これは、すばらしい実例ですね。「目の前は真っ暗で、壁との距離感もわからず、誰がどこにいるのかもわからない……」以下、「すこしでも理解しようと試みることが大切なのだ」まで、胸に響く文章です。
  そうして、「好きなテレビを勝手に見たり、リビングでごろごろしていたりして……」の、人との触れあいのなさ、この指摘も、うなずきました。「一緒に苦しんでもらうことではない」「勇気付けたり、励ましてもらいたい」「すべてをわかって挙げられなくても、相手を良い方向に導いてあげる」。この結びも、とてもいいです。
  文はひとであり、こころだ、ということが言われます。そういうものを感じる文章です。
(挙げられなくても→あ=ひらがなに)

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