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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   心に風景を描き共に生きる自然   高原 八千穂

 日照り続きで,熱帯夜の続く,全く梅雨らしくない梅雨が明けた.私が小さい頃の冬は,関東であっても,時折雪も降り,もっと寒かったように思う.昨今は,環境破壊に伴い,地球が温暖化していることを,生活の中でも充分体感できる.自然破壊に歯止めをかけ,環境を保全するための技術の進歩は,新聞やテレビでも,よく取り上げられている.しかし,それ以前に,人々の持つ「自然観」を見直す必要があるのではないだろうか.日本人が古くから持っている自然の捉え方と,自然との関わり方が,将来への参考になるように私は思う.
 古くから,日本人は,文学や芸術の世界に作者の心に映る風景を表現してきた.春に咲く桜はおそらく日本人に特有の感情を呼び起こすように思う.日本の春は,年度の節目となり,別れと出逢いの季節である.春,桜の咲く風景は,日本人には,欠くことができないものである.はらはらと散りゆく桜に,心落ち着かない様子を詠んだ歌がある。心に桜の咲く風景を持つ日本人だからこそ、歌人の感じた切なさを共有できるのかもしれない.四季折々の風景は,「日本人らしさ」を映し出す日本の心といえるであろう。
 伊勢神宮では,二十年ごとの建て替えのために,敷地内に杉の植林をしている.御正殿で使われたヒノキ材は、鳥居として使われ,さらに二十年を経た後、全国の神社に配られて社となる.人々の暮らしと自然が強く結ばれて,同じサイクルをまわっているように思える.人間と自然は一体であり,共に助け合って,成り立っていることが伺える事例である.日本全国の桜守を勤める人々の目的は,次世代の子供たちに素晴らしい生活環境と景観を引き継ぐためだ.人間がこれまでも歴史を刻む自然の中の一部であったように,今後もその一部として,私は自然と一緒に生きて行きたいと思う.
 科学技術の進歩を通して,環境保全のための多くの試みがなされている.環境を守るために,先進的な技術を利用することも,現代では重要だと思われるが,それは,環境を守るための手段に他ならないことを忘れてはならないであろう.重要なのは,私たちが,数百年後の風景を心に描いて,目の前の自然とどう対話して,生きていくか,私たちの自然に対する姿勢であろう.自然は,技術を駆使して,人間が操作をする対象ではなく,恩恵として得るものを共に分かち合う友達である.

   講評   nane

 冒頭の状況説明がよく整理されていてわかりやすい。
 第二段落の風景の話のあと、最初の主題と関連させた感想を一言入れておくと、次の第三段落にスムーズにつながると思います。小論文なので、上手に書くよりも理屈がつながるように書いていく方がいいので、Aの文章に言及しながら書くといいでしょう。
 第三段落も、Bの文章と関連した話だということを示唆しながら書いていくといいと思います。ある程度わざとらしく書いてもいいです。(笑)要するに、「私は、複数の文章をこう位置づけた」ということをアピールしていく書き方で。
 第四段落は、全体の関連を密度濃くまとめました。「数百年後の風景を心に描いて」はうまい。結びの一文も光る表現になっています。
 余裕があれば、書き出しの熱帯夜にからませて結ぶと面白いと思いますが、そこまで凝らなくてもいいでしょう。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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