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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   歴史家が歴史になった   青ちゃん

 歴史家は、彼ら自身が歴史の一部であり、彼らにとっての事実は彼ら自身の生きるそれぞれの時代の制約を受ける。だからこそ、彼らの手で加工された歴史は既知の事実に新事実を加えていく、変更できないようなものではなく、新たな歴史家の新しい観念に照らして変えられていく、つまり「時代とともに書き換えられる」ものなのである。
 「歴史とは?」と尋ねられた時、どう答えるか。私たちの祖先が過去に歩み、あるいは築き上げた過去の事実であり、常に現在よりも一年、一時間、一秒でも前にあり、決して「今」に追いつくことのないもの…。しかし実際、歴史は日々発見されるだけでなく新たな見解から、新たな角度から見直される。例えば、小学生のとき「マゼラン」と習った大航海時代の航海者は、高校生になって再び習ったときには、いつのまにか彼の母国語、ポルトガル語の発音により近づけた「マガリャンイス」と改められており、そう覚え直させられた。また、「インディアン」も、実際はインド人ではなかったのだからと「ネイティブアメリカン」に改められた。私たち学生側からすれば、余計に覚えにくくなっただけで、どうして今更変更する必要があるのかと思うだけである。これが歴史、これが事実と思い込んでいる私たちはどうしても客観の立場に立っているつもりで、偏った見方になる。グローバル化の時代、これまで、日本という枠内からのみで解釈してきた、他国はもちろん自国の歴史は、あらゆる見解に出会い、それらとリンクして、人類、果ては地球という大きな規模で見られるようになるだろう。一方向の目で見ては、その変化にはついていけない上にろくに興味もわかない。
 その対策としてまず一つに、自分なりに興味の幅を広げることである。私の場合、『世界ふしぎ発見』というTV番組をよく観る。結構長く続いているせいもあるだろうが、以前取り上げた題材でも何度も、様々なあるいは新たな視点から放送されるので、飽きもこない。あるいは、実際に行ってみるというのもいいだろう。それも、一度では意味がない。何度行っても必ず違った発見があるはずだ。
 二つ目の対策は、情報化社会の利点をついて、多くの人と交流を持つことである。先々週の課題にあったように、インターネット世界ひとつを取ってみても、まだまだその発展段階にある。しかし、裏を返せばこれからよりいっそう広がっていくということだ。そのネットワークをうまく利用して知識も見方も広げられる。
 確かに、ひとつひとつの歴史には、日本なら日本にとっての意義というものがあり、日本の立場でしか理解できない価値観もある。それが、他国との争いの種にもなりうる。しかし、自国の見方を守っていくという点でもやはり、互いに寛容に受け止めあうことが必要なのだ。「すべての学問は哲学の上に成り立っている。」誰であったかそのような言葉を残した哲学者がいたが、私はその哲学をも内包する歴史こそ学問を超えてすべての事象の基盤となるものであり、人類の生きた証となる貴重な遺産として、進歩していくべきだと思う。

   講評   huzi

  8.2週の作品を上回る点数をたたき出して、これが堂々第1位! さすがです。じっくり読ませる密度の濃い意見に仕上がっています。夏休みに一生懸命世界史の勉強をした人にとっては、タイムリーなテーマだったね。マガリャンイス……椅子職人みたいな名前ですが、マゼランのポルトガル語読みだったとは。
 二段落目の意見展開がいいね。手書きの時から私は二段落目に注目していたのですが、パソコン書きになってより一層余す部分なく緻密な論展開になってきたね。長文を自分の問題として真摯にとらえ直す姿勢はすばらしい。
 【対策】には、興味の幅を広げることと多くの人との交流を深めることを挙げたね。歴史という大きなテーマを真正面から考えすぎると対策を浮かべにくいのですが、柔軟にクリアできていますよ。私たちは興味の幅が広いようで狭く、さまざま交流の可能性があっても生かしきれていないのが現実です。身近なきっかけをちゃんと生かしているか、反省点は多いですね。
 「すべての学問は哲学の上に成り立っている」これはいい言葉だね。さらに、哲学をも内包するのが歴史だとテーマに沿って大きな視野で包んだのには感心しました。うまいなぁ!
 【対策】の段落に入る前に、「では私たちは歴史に対する視野をどのように広げていけばよいだろうか」と序になる一文を加えてみよう。 それから、最後尾の文は主述がピッタリ合うように分割したほうがいいでしょう。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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