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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   喧嘩を売る 買う   しっぽ

 うちを目指して葉っぱが飛んでくる。泥水が飛んでくる。訴えてやろうか。
 日本の近隣関係は、各国のそれに比べて、とても中途半端である。隣人と会えば挨拶はする。しかし、心の奥底では不満がある。かといって裁判を起こす気にはならない。双方の体裁が悪くなるからだ。裁判をすれば、黒白はっきりする。相手が黒ならば、それはそ
れで気の毒だが、自分に責任があると判断されれば、そこから引っ越さない限り、一生悪者の烙印を押されてしまうのだ。日本において、隣人間の紛争の解決の難しさ、そして、裁判に対する重々しいイメージを変えていくべきである。
 まず、その第一の方法に、日本人の堅さを見直す、ということである。私の家は隣家とほとんど密接している。隣の家に面した側に、うちの風呂がある。ある日、母が風呂を掃除するため、風呂場の窓を開けた。窓を開けると、隣の家の壁と小さな窓が見える。母は、隣の壁をぼんやり見つめながら、考えごとを始めた。すると、隣家の住人が小さな窓を開けた。その瞬間、母とその人は目が合い、隣の人は嫌な顔をした。それからは、隣の人は、うちと隣家の間に大きな木を何本も植えた。嵐の日は、泥、葉、虫が一斉に飛んでくる。それは、うちの白い車にべったり張り付く。毎朝父と私を送り出すその車は、左側だけドットの模様を付けて、濡れた地面を走るのだ。それだけではなく、近隣全体にうちの悪い噂が流れ始めた。こういったつまらないことで、一方的に誤解し、敵としての偶像を膨らまし、ましてや話のネタにするなどということは、人として最低の行為である。日本人のこういった堅物気質は絶対に直さなければならない。下らない問題を引き起こすだけなのである。(体験)
 また、第二の方法に、裁判と普段の生活との区別をつける、ということである。アメリカ人の例を見てみよう。父親は高級車に乗っていた。そのキーを机の上に置いた。高級車を運転してみたかった彼の息子は、キーを見つけて、父親には内緒で高級車を運転した。ところが、息子は事故を起こし、車はペシャンコ、息子は骨折をした。そこで、この親子は、それぞれを訴えたのだ。まず、父親の訴訟理由はこうだ。「息子は、勝手に車を運転し、私の車を壊した。車代を返してくれ」それに対し、息子は「父が見えやすい位置に鍵を置くからいけないのだ。僕には払う義務はない」と言っている。裁判は順調に行われた。裁判所では、親子は存分に言い合った。しかし、一旦家に返ると、二人は互いを労わりあった。日本人にそんなことができるだろうか。もし私が父と裁判で対決していたら、家に帰っても、裁判のことを引きずるだろう。裁判を起こし易い環境を社会全体で作っていかなければ、裁判は依然として、日本人にとって嫌な存在のままである。
 確かに、裁判は怖い。「お前のこと訴えてやる!」と言うと、今まで反省することを知らなかった人にも、絶大の効果を発揮する。あの質疑応答の重苦しい雰囲気、裁判官の厳しい表情は、まるでカツオが波平に叱られているような図である。しかし、大きな喧嘩の時、なかなか解決方法が思いつかない場合は、やはり第三者に仲裁してもらうしか道がなくなる。自分のことしか見えていない人たちに解決方法を思い付くなどという可能性は皆無に等しいのだ。裁判に出ることによって、人は「裁かれる」のではなく、互いを冷静に見つめ合う場を与えられるのだ。そのことを日本人に理解して欲しい。

   講評   nane

 書き出しの工夫をしたね。小論文は、硬い文章になりがちだから、書き出しと結びはできるだけ表現を工夫していくといいよ。
 隣の人の性格というのは、住みやすさの大きな条件だね。確かに、中には感じの悪い人もいる。どうしてそういう性格になるのか謎だけどね。(笑)
 ドライに文句を言い合う関係ならいいのだけど、日本人はそういうやりとりは苦手なようで、お互いに相手が察してくれることをじっと待つような面がある。昔のように地域のコミュニティがあるところでは、間を取り持つような役割の人も数多くいたのだろうけど、今はお互いに孤立して暮らしているから、問題がこじれたときの調整役がいない。この長文にもあるように、過渡期の矛盾といえるのかもしれないね。
 結びの名言はうまく入れた。余裕があれば、書き出しの工夫をもう一度結びでも生かしてみよう。
 方法が二つとも心構えのようになっているので、もう一つはもっと社会的なことを書いていくといいよ。例えば、身近に利用できる弁護士の制度などね。

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