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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   「噴水は、飲めない水で」の感想文   えかれ

 この文は、身の回りで役に立たない物の必要性を、噴水やミュンヘンの街角に配置された投入口の無い自動販売機のこと等を紹介して筆者の考えを説明している。筆者は日本では水不足のときに噴水を停めろという議論が出るが、それは噴水の役割を否定するもので、噴水はただ水を噴き上げていればよいという意見を持っている。一見、生活に不必要なものでも、この役に立たないことをするというのが文化であると筆者は考えている。
 僕は、この文を読んだ後、家の中を見渡して役に立たないものを探してみた。最初に見つけたものは、父のタバコだった。タバコは、(1)自分の体に悪い (2)周りの人に迷惑をかける (3)タバコを買うためにお金がかかる (4)火にいつも気をつけなければならない、の理由でまったく世の中には必要がないものに思えた。 でも父に聞くと、「タバコを吸うとリラックスして、頭の中が休まる。」という答えが返ってきた。その父も何度も禁煙をしようと努力をしたらしい。僕には、タバコを吸うことが文化の一つであるとは、とても思えない。次に見つけたのは家の庭にたくさん咲いている花だ。週末にガードナーが来て花や庭をきれいにしてくれる。でもそのために高いお金を払う必要がある。花はいつか枯れるのに何故、こんな無駄なお金を使うのだろうか? 確かにきれいな花を見ていると、心が落ち着き、楽しくなることもある。父から以前、生きるためには「衣・食・住」が必要だと聞いたことがある。花はこの三つの中には入っていないけれども、もし世界中にある花がすべて無くなったらと想像してみたら、とても殺風景で怖くなった。花は直接、生きるためには関係ないけれども、心豊かに健康な生活をするためには絶対に欠かすことができないものと思った。最後は玄関でたくさんの場所を独り占めしている古時計だ。もちろんこの古時計は、もう動いていないので時間を知ることはできない。アンティークが好きな人には、のどから手が出るほど貴重なものだろう。でも残念ながら僕の家族の中にはアンティークが好きな人はいない。この古時計は以前の住人が置いていった、ぼくの家のじゃま物の一つだ。でもある日、じっとその時計を見ていると時計がタイムマシンになって、僕は遠い過去に連れて行かれそうな感じがした。古くてじゃまな物だけど、古いものは特別な感情を与えてくれる。
 無駄なものをどんどん捨てて、必要なものだけを残したら、人間が住み易い便利な生活になるのだろうか? 生きていくためには、ものだけではなく、楽しみや安らぎも必要だと思う。また僕にとってはタバコ、花そして古い動かない時計等はそれほど重要ではないけれども、他の人にとっては、生きていくために絶対に必要なものかもしれない。だからこの世の中で不必要なものは、無いと僕は強く信じている。

   講評   nakahi

 励君、森リンでは78点という高得点がでましたよ。先生も十分その点数に見合った内容だと思います。実をいうと先生は、この長文の作者である別役実氏がとても好きなのです。一見無駄なものに目をつけて、屁理屈ともいえる論理で読者を説得していく。読者は作者の言うことが屁理屈だとわかっていても、その軽快な口調を大目にみてしまう、こんな図式が出来上がっているような気がします。
 励君も別役氏のように、小気味良い論理を展開するタイプですね。励君の文章はどんどん自分らしさを増していっているので、毎回読むのがとても楽しみです。いつか、先生の好きな「作家」になってくれるのではないかと期待していますよ。
 第2段落目では、要らないものを3つも挙げてくれました。特にタバコのことでは、(1)〜(4)の理由で、と意見の裏づけができていてとてもよかったですよ。しかもそれこそ作者のように軽快な口調で面白い!ただ、この3つの「要らないもの」の性質を比べてみたら、同系列ではないことに気づくはずです。
A. まず、タバコは励君にとって「とても文化の一つであるとは思えない」
B. 花は「直接、生きるためには関係ないけれども、心豊かに健康な生活をするためには絶対に欠かすことができないもの」
C. 玄関の古時計は「古くてじゃまな物だけど、古いものは特別な感情を与えてくれる」
この例だと、タバコは最終段落の「楽しみや安らぎ」を与えるものだとは励君は思えないようです。もしタバコをほかの2つと同系列にしたければ、タバコの効用、即(すなわ)ちお父さんのいう「リラックスして頭の中が休まる」ことを強調しなければいけません。だから“でも父に聞くと、「タバコを吸うとリラックスして、頭の中が休まる。」という答えが返ってきた。その父も何度も禁煙をしようと努力をしたらしい。僕には、タバコを吸うことが文化の一つであるとは、とても思えない。”の部分を少し変えましょう。このままだと、タバコに関する否定的な意見が主流ですからね。先生はこうしてみました。
 “以上の理由で、僕には、タバコを吸うことが文化の一つであるとは、とても思えない。でも父に聞くと、「タバコを吸うとリラックスして、頭の中が休まる。」という答えが返ってきた。何度も禁煙をしようと努力をしたが結局禁煙できないからには、タバコは父にとって必要なものなのだろう。”
 こうすると、タバコの効用が他の2つと同じく強調されて、最終段落の意見を支えることになります。細かいことだけれども、自分の文章が一貫性をもって、意見を導いていっているかいつも注意して推敲していきましょうね!


↑枯葉はどうだろう?掃除しなくちゃいけないときは「要らない」ものなんだけれど、やっぱり秋の風情を醸(かも)しだしてくれるという意味で、人間の生活には必要なものなのかしらね。

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