励君、森リンでは78点という高得点がでましたよ。先生も十分その点数に見合った内容だと思います。実をいうと先生は、この長文の作者である別役実氏がとても好きなのです。一見無駄なものに目をつけて、屁理屈ともいえる論理で読者を説得していく。読者は作者の言うことが屁理屈だとわかっていても、その軽快な口調を大目にみてしまう、こんな図式が出来上がっているような気がします。
励君も別役氏のように、小気味良い論理を展開するタイプですね。励君の文章はどんどん自分らしさを増していっているので、毎回読むのがとても楽しみです。いつか、先生の好きな「作家」になってくれるのではないかと期待していますよ。
第2段落目では、要らないものを3つも挙げてくれました。特にタバコのことでは、(1)〜(4)の理由で、と意見の裏づけができていてとてもよかったですよ。しかもそれこそ作者のように軽快な口調で面白い!ただ、この3つの「要らないもの」の性質を比べてみたら、同系列ではないことに気づくはずです。
A. まず、タバコは励君にとって「とても文化の一つであるとは思えない」
B. 花は「直接、生きるためには関係ないけれども、心豊かに健康な生活をするためには絶対に欠かすことができないもの」
C. 玄関の古時計は「古くてじゃまな物だけど、古いものは特別な感情を与えてくれる」
この例だと、タバコは最終段落の「楽しみや安らぎ」を与えるものだとは励君は思えないようです。もしタバコをほかの2つと同系列にしたければ、タバコの効用、即(すなわ)ちお父さんのいう「リラックスして頭の中が休まる」ことを強調しなければいけません。だから“でも父に聞くと、「タバコを吸うとリラックスして、頭の中が休まる。」という答えが返ってきた。その父も何度も禁煙をしようと努力をしたらしい。僕には、タバコを吸うことが文化の一つであるとは、とても思えない。”の部分を少し変えましょう。このままだと、タバコに関する否定的な意見が主流ですからね。先生はこうしてみました。
“以上の理由で、僕には、タバコを吸うことが文化の一つであるとは、とても思えない。でも父に聞くと、「タバコを吸うとリラックスして、頭の中が休まる。」という答えが返ってきた。何度も禁煙をしようと努力をしたが結局禁煙できないからには、タバコは父にとって必要なものなのだろう。”
こうすると、タバコの効用が他の2つと同じく強調されて、最終段落の意見を支えることになります。細かいことだけれども、自分の文章が一貫性をもって、意見を導いていっているかいつも注意して推敲していきましょうね!