対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

昨日4215 今日2148 合計61923
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   身近な生態系を考える   えうあ

 1960年代科学技術は急速な進歩を遂げて、農業用にも化学合成した農薬や、肥料が開発された。害虫を駆除するために、毎年毎年農薬をまいた畑の土はやせて、農作物ができなくなってしまった実例が多くある。化学合成肥料の副作用により、「土が死んだ」状態である。確かに対象となった害虫は駆除されたかもしれないが、土までも死んでしまった。作物に悪影響を及ぼす病気や害虫への対処を考えるには、局所的な早急な対応ではなく、土の中にすむ生き物を全体で捉える生態学的な見方をする必要がある。
 通常、都会の生活の中で、生態系というのはとても意識しにくい。土や木やそこに生きる小さな生き物たちのことを、特に大人はあまり意識しないで生活することが多いからだ。
春先、ベランダのパンジーにびっしりと、アブラムシがついてしまった時、私は、害虫駆除用の薬が家にあったかどうかが、真っ先に頭に浮かんだ。その時横にいた小学生の息子が言った「テントウムシをつかまえて来て、食べてもらおう。」と。私は、対処として、即座に薬品を思いついた自分を、恥ずかしいと思った。安易に薬品をもって、すぐに結果を出そうとするのではなく、自然の中の生態系を考慮した対応策を考慮することが、長い目で見て、我々人間にとって住みやすい地球を守ることではないだろうか。そしてその方策は、自然の中で遊ぶことが多い子供から学ぶことができると思う。
 農薬を散布すれば、害虫はすぐに死滅する。しかし同時に、その害虫の天敵をも殺してしまう。こうして、生態系がくずれてしまう。土の上の害虫をなくすには、土の中のこと、土の構造と、土の中と外に生きる微生物や生き物たち営みについて、知識をつけなければならないであろう。ミミズは土を豊かにするために、決定的に重要な動物であることが研究から分かっている。ミミズが、土と一緒に呑み込む新鮮な草の葉やワラがミミズの体内の分泌液によって、ふんとして排出される時、ふわふわとした細かい団粒状の土が豊かな黒い土になる。「うわ。ミミズ!」と気味悪がられるミミズだが、我々人間に美味しい実りを届けてくれるためになくてはならない豊かな土を作ってくれる、貴重な存在なのだ。声をかけるのであれば、「有難う。ミミズ。」であろう。
 我々人間が普段気がつかないで生活しているが、自然界には、微妙なバランスで生態系が保たれていることが沢山あるであろう。確かに科学技術の進歩が人間にもたらす利益は大きい。しかし、我々は、これまで長い歴史の中で保たれてきた生態系に、土足で踏み込んで、局所的に科学技術を持ち込んで、生態系を崩すようなことをしてはならないのだ。自然の中の生態系は、大人が実験室の中で考える技術から見えてくるのではない。普段の遊びの中で、土を掘り起こす中で、ミミズやアブラムシ、アリ、昆虫の幼虫、に出会っている子供たちから学ぶことができるのだ。まずは、子供の視点から、どこにどんな虫がいて何を食べているのか。ごくごく身近なところから、生態系を見直してみようと思う。

   講評   nane

 アブラムシとテントウムシの実例は傑作。これだけでも、どこかに発表する値打ちがあると思います。生物の世界の仕組みをすると、これまで人間が効率の悪い努力をしてきたことが、自然の力で補えるようになるかもしれません。細菌の微生物の利用などを見ていると、その感を強くします。
 ある研究者によると、寄生虫がいなくなったので花粉症が発症するようになったという説があるそうです。O−157も、清潔すぎる環境にいる人が感染するという話がありました。
 こう考えると、自然に学ぶというのが、これからの科学の大きな方向になりそうです。
 第三段落は、ミミズの話から広げて別の社会実例を展開してもかまいません。第一段落での一般化した問題的に合っていれば、途中の展開は広がるほど面白くなります。
 結びの意見は、安定しています。「自然の中の生態系は……」は名言になっていますが、文を短くすると更に印象的になると思います。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)