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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   調和   あとえ

 ヨーロッパなどを旅行するとき、都市のモニュメンタルな建造物を見れば、誰しもそれに魅せられる。だが、そこですぐに人は、知的関心の方に動かされやすいのであるが、それはしばしばその人の印象体験やその感動を弱めるか、うち消すかするのに作用するのである。しかし、もっとも大切なことは、その対象をまず全体として見て感じ、出会いを新鮮に体験すると言うことである。自然物や人為的建造物などが、一つの内的・生命的構造関連を持つ生きた全体となるところに風景が現象する。もしも一つの美しい自然的風景があって、そこに人為的建造物が入り込むとして、それが風景のリズムを破壊せずに、調和した一つの統一をつくり出しているとしたら、人為的建造物をつくる人の心に、したがってつくられた作品としての建物の中に、風景の心、風景のリズムが生きて作用しているということ、このことを認めざるをえないであろう。その反対の場合も明白である。風景の心を無視した資本主義的営利関心のつくり出す建造物が、むき出しに風景を破壊する、ということは人の良く知っていることなのである。
 建物は周りの風景との関連の中で見るものだ。しかし、現在の社会では周りの景色を無視した不調和の建物が多いことが問題だ。
 その原因として第一に、私たちが戦後、伝統のよさを否定してきたからではないだろうかということがある。京都の町並みは、ずっと昔、都が京都であった時から変わっていない。碁盤状に整備された町は、過去の日本に戻った気にさせるほど美しく、人々を魅了する。京都は数少ない日本の伝統を守っている土地である。しかし、そんな京都も、京都の端から端まで昔のままではない。碁盤状の昔の町並みは、道が細く、産業を発達させるのには向いていない。京都が日本有数の発展された都市であるためには、昔のままでいてはいけなかったのである。そのため、京都の町並みには不調和なビルやマンションがたつことになったのだ。土地には、その土地に深く刻み込まれた歴史というものがある。しかし、その歴史よりも合理性を優先させてしまうところがあるのだ。
 第二の原因として、今日の社会が利益にならないものは評価しないという論理で動いているということがあげられる。私たちは普段、何を考えて行動するだろうかと考えると、やはり損得を考えて行動している。無意識的に、あっちの道よりこっちの道の方が近道だとか、あっちのスーパーの方が安いとか、利益を第一に考えている。それは、自然界でも言えることだ。この前、テレビでアフリカの動物たちの大移動を見た。アフリカに住む動物たちは、水を求めて長い長い旅に出る。そしてそのときを待ってましたと言わんばかりに大きな口を開けて動物たちが自分のテリトリーに入るのをずっと待っているワニの群。どの動物も、誰に教えられた訳でもなく、本能的に自分が一番得になるような位置を見つけている。もし、北極がよく似合うホッキョクグマが、北極よりもアフリカでいた方が餌もたくさんとれるし、暮らしやすいと思うのならば、今までのできあがった固定観念を捨ててでも、暮らしやすい所で住もうとするであろう。景色との調和というような利益にならないものは、どうしても後回しにされてしまうであろう。その世界を生きていく中で、利益が最も大事なのだ。
 確かに、周囲との調和を協調しすぎれば、社会の停滞を招く。しかし、社会は、対立ではなく、協力によって上手く作動するから、私たちはもっと周囲との調和を考えていく必要がある。

   講評   kira


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