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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   宗教   ほり内

 はたして宗教はどのような役割を果たしてきたのだろうか。宗教とは、人間の死に対する恐れ、悲しみ、自然、特に自然災害に対し、感じる無力さ等、人間のマイナスの感情を埋めるために宗教がうまれてきたのだろう。人間は、死を恐れたり、無力感をかんじたり、することで、どんな人間でも、精神的に追い込まれてしまう。だから、精神的に追い込まれる原因である恐れ等をとりのぞくために必要なのが、宗教なのである。実際、昔、宗教はこのような目的で、運営してきた。キリスト教、イスラム教、仏教などの有名宗教も恐れを取り除き、信者の精神的な支えとなることを目的としていたに違いない。しかし、中世、そし今日の宗教団体は、実世界の観点が、狭まってしまったため、宗教同士がいざこざを起こして、宗教戦争に発展してしまった。そのために、宗教は本来の目的を失いつつあるのだと思う。民衆の精神的な支えになるはずの宗教が、逆に民衆を苦しめてしまうという結果を招いたのである。例えば、プロテスタントとカトリックの対立である、「アイスランド紛争」、イスラム教とユダヤ教がイスラエルを巡って、紀元前からの因縁の関係になってしまった「パレスチナ問題」等など、一度挙げてみればきりがないほど、過去、そして今日も宗教戦争が起こっている。
 今日、本来民衆の支えとなる宗教が、戦争という結果で、民衆に甚大な被害をもたらしているのは問題である。
 その問題は第一に、今日の宗教が、対話などによる講和で戦争が解決できるという方法が不可能であることだと思う。宗教とは基本的に自分の宗教が絶対であるという事をまず頭においている。そのためにもし異教徒間で、妥協点が見つかったとしても、いや自分の宗教が正しくないとは言わせないという風にいわば「子どもの意地の張り合い」(笑)のような状態になってしまうのである。つまり、どうしても、互いに自分が正しいと主張している。そのため、解決策が見つからない。これが宗教戦争が泥沼化する所以ではないだろうか。
 また、今日、宗教の変わりに民衆の精神の支えとなる物が発見されていないというのも、問題であると思う。宗教が、戦争をどんどん生み出して、民衆に被害をもたらすならば、宗教の代わりとなるような理論や、教えを考え出し、広めればいいのだが、現在残念ながら、そういった物が見つかっていないのである。もし、そのような教えが見つかるならば、今まで宗教を信じていた人たちが抵抗するのは明らかだが、それが解決できれば、宗教戦争は確実になくなるだろうと思う。
 確かに、宗教の考え方は今日の私達でも通ずるところがあるかもしれない。しかし、宗教が、民衆の支えになるのではなく、民衆に恐怖を与えてしまっては、意味がないのである。

   講評   baba

 洞察力にすぐれる作文ですね。するどい指摘や分析が光っています。
<第一段落>
 宗教とはそもそも何かということについて自分の捉え方をはじめに述べたことは適切でしたね。そして、現在の問題として宗教戦争を挙げていることもいいテーマです。
 宗教が本来のあり方から変わってしまった理由として「実世界の観点が狭まった」こと、それによって宗教戦争が生じたことを指摘できましたね。少し意味が分かりにくいので、具体例をあげながら説明すると良かったでしょう。
<第二段落>
 宗教の存在は本末転倒だとひとまずまとめ、テーマを確認していますね。
<第三段落>
 宗教戦争問題の困難さの理由として、排他的な姿勢を指摘できました。的確です。
<第四段落>
 宗教という存在が本末転倒になっていることの理由として、人々の心の支えが宗教以外にないと指摘しました。だからこそますます人々は自らが帰依する宗教を固持し、他を否定するのでしょうね。
<第五段落>
 反対意見への理解も的確です。いろいろな宗教の教えを学ぶと、本質的なところでは共通していたり、現在の多くの問題に通じるところがありますね。

☆「変わりに」→「代わりに」(四段落一文目)、「そういった物」→「そういったもの」(四段落二文目)


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