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　　　平和＜民主主義　　　聖羅

　一九四四年末の段階で大日本帝国ファシスト（軍国主義者）政権が降伏していれば、三月十日の東京大空襲の死者十万人も、沖縄戦の死者二十三万人も、ヒロシマの死者十五万人もナガサキの死者七万人も出さずに済んだ。犠牲がなければ今の平和がなかったわけではないだろう。誰だって同胞たちの死を意義のある崇高な死と見なしたい。しかし、無駄と認めないのは、自分たち人間の愚かさを糊塗することに他ならない。数百万人の死という犠牲の上にしか二十世紀後半の平和が成立しないのだとしたら、そんな平和はいらない。慰霊祭などを毎年盛大にやることよりも、なぜこのように死者が数多く出てしまったのか、また二度と戦争が起こらないような調査や研究をすることのほうが先決なのではないか。（要約）
　私達はあくまでも理性に則って物事を判断しなければならない。裁判などで裁判官が感情的になって、法を無視してしまったらどうなるだろうか。例えばＡが生活に困ってＢを殺し、お金を取ろうとしたが、未遂だった場合は被告人Ａが殺人未遂で逮捕されるだろう。もし裁判官が被告人Ａに感情移入してしまって、Ｂが敗訴してしまったらそれは日本国憲法に反するのではないか。Ａにどんな事情があろうとも、Ｂの生存権を他人が奪ってはいけない。裁判官は自己の良心と憲法・法律だけに基づいて司法権を行使しなければならないという使命があり、それは決して犯してはいけないのである。
　しかし、ただ論理的にだけ考えてはいけない。時には感情的になるのが人間である。昔話にアラビアンナイトという話がある。死刑を告げられた娘は、心を病む王様に毎晩、不思議な話を聞かせ、いつしか王様は その娘の話を心待ちにするようになる。　一夜に一話ずつ語られる、わくわくするような物語。そうして千一夜がすぎ、ついに娘は刑の執行を逃れ、自由の身となった。論理的には死刑にならなければならない娘のことを思う王の気持ちが、娘を自由の身としたのではないか。
　論理的にだけ考えることや、感情的にだけ考えることは大切なことだけが必ずしも正しいとは限らない。民主主義は、教科書には書かれていない。という名言があるように、最も大切なことは、互いに同じ立場で、相手が理解するまで話し合うということである。

　　　講評　　　takeko

おお、これはいい文が書けましたね！複数の意見Ａ，Ｂともに、よい実例が出せました。第2段落、「日本国憲法に反する」のところですが、日本国憲法というのは、国の基本的な基準だけが書いてあるので、この場合は「刑法」などとしたほうがいいと思います。第3段落、「昔話実例」は、とてもいい例が考え出せましたね！これは本当にいいです。規則規則でしばられていて、人間として大切なことを見失ってしまうということになると、なんのため、誰のための規則かということになってしまいますよね。そのあたりのテーマについては、ドラマでもよくありますよね！規則一方の人と、熱血な人の対立なんていう構図は。
「名言」および総合化の主題はよくできました。これからの地球のためには、「相互理解」というのは、一番大切なテーマだと私は考えています。