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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   行動する前に考えろ   いうや

 誰だって同胞達の死を無駄とは思いたくはない。しかし無駄と認めず、意義ある崇高な死と見なすことは、人間の愚かさを糊塗することに他ならない。現にアメリカでは、原爆投下の正当性を発言する人が多い。慰霊祭をするのならば、どうして戦争が起こったのかを調査、研究して、戦争という悪夢を二度と見ないようにするべきだ。大西洋戦争体験のある大岡昇平さんは、「捕虜の仲間と一緒に、少し泣いた」と、語っている。未来や事実を見つめて、戦争に終って平和になるので少ししか泣かなかったのだ。あの時期にあの状況で少ししか泣かなかったことが、この人の知の力だと思う。
 確かに原因や事実を客観的に分析することは大切だ。なぜ失敗したのかを考え、結果的な二の舞を踏むことは避けるべきである。この作文を書いているときに、ふと以前の理科の授業を思い出した。電流と磁力についての勉強で、モーターを作ることになった。製作前に、「モーターが回る原理は磁界の中で電流を流すことによって銅線が動くことだ」と教えてもらい、また、「モーターを回転させるのは難しい」とも教えてくれた。実際に実験を試みてもコイルは回らなかった。しかし銅線を丁寧にはがしたり、クリップの折り曲げ角度を変えたり、磁石の置き場を変えたりしていると突然コイルが回り始めた。「やった!」と思った瞬間すぐにコイルは止まってしまい、僕の喜びも風船のように萎んでしまった。もう一度気を入れなおし、どうすれば回るのか考えていたら、僕に誰かが電流を流したかのように、頭の中の豆電球が輝いた。その閃きを基に、風のような速さでコイルを整え直して左右のバランスを整えてみると、コイルもまた、風のような速さで回り始めた。クラスの周りを見渡してみると、まだ誰もできていない。しかも先生から与えてもらった時間の半分も経過していなかった。そのときの、僕の心の躍動は、そのモーターが表していた。
 しかし、心から悔しいと思って反省し、次は頑張るぞ、と思うことも必要だ。始めから悔しいと思う気持ちがなければ、次へのステップアップは臨めない。したがって、次の機会もまた失敗してしまうのである。野球でもそうだ。試合をやって負けても、負けて悔しいと思い、次は必ず勝つという信念や執念がなければ、次も負けてしまうのだ。例えば昔話のサルカニ合戦でも、柿を食べることを楽しみにしていたカニは、サルに横取りされ、おまけに母親の命も奪われてしまい本当に悔しいと思った結果、仲間と一緒にサル退治ができたのである。つまり、気持ちは行動へ移るのだ。
 確かに原因を分析することも、反省することも重要だ。しかし一番大事なことは初めから研究して、失敗してしまいそうなことはやらないことである。しかしときには失敗しそうな物に挑戦することもあるだろう。その時は熱い気持ちと意志をもち、チャレンジ精神を失わなければ、「我が辞書に、不可能という文字はない」という言葉を伴うことができるだろう。

   講評   huzi

 すばらしい! 一週目に続き、今回も高得点をマークしているね。98点、おめでとう。感想文という枠を超えた力を感じます。
  【総合化の主題】が秀逸ですね。「一番大事なことは初めから研究して、失敗しそうなことはやらないこと」と書き、さらに「ときには失敗しそうなものに挑戦することもある」と、視点をずらすことで結論の意味を深められました。前半だけなら、安定した人生を送ることができても、人間としての深みや幅が広がらないですね。しかし、失敗があっても乗り越えられると思うチャレンジ精神があるから、人間は進歩発展してきたのです。
  各項目もバランスよく配分できました。著者の感情に流れることに対する疑問に対し、公平に二つの立場を設定して意見展開できています。公平さを持つことは、意外と難しいのですが、体験実例を読むと、ぐらつきがないことがよくわかります。
 磁界の実験は、集中力が功を奏したね。どんな閃きがあったのだろう、興味があります。野球と【さるかに合戦】は似たところがあるかもしれないね(笑)。
 ますます多忙さを増す毎日だと思いますが、今が頑張りどころ。まだまだ十分伸ばせる余地はあります。次回も最高作を期待しています。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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