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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   旅をして自分を磨けっ!!   あるま

 旅は日常の惰性的な生活のなかで閉ざされた私たちの心を開かれた、予感にみちたものにする。旅先で見たものや聞いたものは、しばしば私たちに新鮮なおどろきを与え、旅で出会った出来事はしばしば私たちに強い感動を与える。好奇心とは、私たち人間の知的活動の根源をなす情熱、つまり知的情熱にほかならない。好奇心以前の情念はあらゆる苦悩の源であるだけでなく、あらゆるよろこびの根源のでもある。そのような好奇心は日々新たである旅によってよりつよく突き動かされ、働くようになるのだ。好奇心こそがあらゆる文化や学問の原動力となるのだから、旅は重要なものである。私は、積極的に旅をするという経験をしていくべきだと思う。
 そうする一つ目の方法は、旅をすることで新しい気持ちになることを覚えることだ。私は川端康成の『伊豆の踊子』という作品を読んだことがある。この作品は「私」という人物が踊り子達に会い、自分の中で変化が起きるといったものだが、その変化という点に着目して読んでみると旅についての自分に影響される部分が分かる。「私」は自分の孤児根性でゆがんだ性質に厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪えきれず伊豆の旅に出たのであった。その旅の途中で踊り子達に会い、自分を素直に受け止められるようになった。旅を終えた帰りの場面で次のような表現も見つけられる。「私はどんなに親切にされても、それをたいへん自然に受け入れられるような空虚な気持ちにだった」「何もかもが一つに解け合って感じられた」。この表現を読んで、旅の効果というものは大きいものだと気付いたのである。長文にもあったように、旅で出会うものは新しいものばかりであり、新鮮に感じられて心も研ぎ澄まされるように感じる。また、単に新しいものを見つけるばかりでなく新しい見方に気付くこともあるだろう。『伊豆の踊子』の「私」にしても、別に直接踊り子に「素直になりなさい」と教えられたわけでは決してない。あくまで自分の中での変化なのである。新しいものが悩んでいたことを解決することにつながる光を添えるのである。その光のきっかけこそが旅をするということなのだ。
 もう一つの方法は、旅を通して好奇心を鍛えることだ。旅というものは「外」からの影響が大きい・・・というより外の世界そのものである。つまり、今まで「日常的」だとしていたものとは無縁になってしまうものである。しかし、私は旅に出ている時こそその「日常的」なものの重要さを身にしみて感じる。私は高一の夏休みにオーストラリアへホームステイに行った。外国であるという「外」的な印象の上に、私の寝泊まりさせてもらった地域には予想以上の生活の違いがあった。その地域は日照り続きで、水不足が問題になっていた。家で使える水の量も限られてくるし、節約の意識が必要だった。例えば、シャワーは三分以内で使うようにするとか、手を洗う時に石けんをつけている時などの水を使わない時は出しっぱなしにはしない、といった約束を教えられた。日本でこのような問題を注意する経験がなかった私は、何度か水を出しっぱなしにしてしまっている時があった。そんな時、ホストファミリーの人達はすかさず水を止めた。八歳の子でさえその意識がしっかり根付いているようで、私は感心してしまった。この時に水を使うといった、日本ではごく日常的なことが重要なことだったと気付いた。「外」を見たはずなのになぜか「内」側がはっきりしてくるのだった。以前読んだ長文で、自分探しをするために書物を読んだり書いたりすることで自分の同類が見つかる、という内容のものがあった。(長文実例)こういった自分の「内」と「外」の違いというのはとても興味深いものである。ここを出発点として私たちの好奇心が育つのだと思う。
 確かに、日常生活は好奇心だけが支配しているわけではない。しかし「好奇心は探求する心ではなく自分を見直すきっかけである」ように、旅をして新しいものを発見するのではなく、自分自身を見つめ立て直していくのが大切なのだ。旅を通して得た好奇心は私たち自身を磨いてくれることにつながるのである。

   講評   huzi

 試験は終了したかな? この感想文もよく意見が練られていて、読み応え十分です。2.1週の作品とどちらを清書にするか迷うところだと思います。講評を読んで、決めてくださいね。
  【当為の主題】には、積極的に旅をする「べきだ」と書いたね。積極的な旅のあり方。自分で目的地を決めて、人に頼らず行動する……旅の外見からは、このような印象がありますが、佐保さんの書いた意見は、人間の気持ちをさらに深く掘り下げている点で、一歩進んだ内容になっています。
  旅を通して新しい気持ちになること。『伊豆の踊り子』を引用しての説明が、具体的でわかりやすいです。私たちが旅をして新しい気持ちを得られるかどうかは、その人の心の柔軟性によりますね。
 二番目の【方法】の好奇心を鍛える。これには、素直さが必要ですね。自分にとっての日常が、外の世界では通用しないときどうするか。それを異なものとして拒絶していると、「外」に対する好奇心はもちろん、自分の「内」を見つめなおすこともできませんね。この段落の「外」と「内」を考えた意見は、独自性があっていいです。【長文実例】も◎。
  旅は、自分自身を見つめ立て直していくもの。外に向かう意識と同時に内側に向かう探究心を、旅は養ってくれるのですね。最後の段落には、考察を経て得た主題を【自作名言】を効果的に用いながら示すことができました。

 さて、清書はどちらにしよう? 単純に、要約しやすいほうを選べばいいと思います。骨格となっている意見と、肉付けした体験などが、すんなりつながっているほう。字数制限があるので、ひねりが少ないほうがまとめやすいね。

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