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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   物と人   ルフィ

 教室の風景が変わってきている。例えば、消しゴムを無くした子がいても、その子は誰かに借りようともせずただ「先生、先生」といっているだけなのだ。また、小学校高学年でも木工をやらせようとすると板を空中でもち、釘を打とうとして「先生、打てません」と言っているだけである。このような事態は、子供たちの他者への無関心と気配りの足りなさ、普段の道具とのかかわりの希薄さから来ている。だから、我々はもっと人や物とかかわりをもつべきである。そのためには、以下のような方法が挙げられる。
 まず、手作りの価値を見直すという方法がある。昨年の夏、私は学校主催の登山キャンプに参加した。その時が初めてのキャンプ体験だったので、私は期待に胸を膨らませながらキャンプ場までの山道を登っていった。そして、ようやくたどり着いたそこには・・・・!水場以外何もなかった。あとはただの森が少し開けたような場所であった。経験者には「そんなの当たり前じゃん」と一蹴されるかもしれないが、とにかく私は初めてだったので驚いた。いや、調理用の火を焚く場所とかテントを張るために均された土地とかがあるかと思っていたのだ(笑)そして、これでどうやってご飯作るんだよ、と一人悩んでいたら今度はかまどを作れという。そうか、そうなんだ!とこれまた一人納得し、いそいそと作り始めるがこれがなかなかうまくいかない。石を積み上げていくのだが、どうにもうまい石が見つからなかったため、何度も近くの河原に石を探しに行く羽目に陥った。そんな思いをして出来たかまどから今度は火がもれる・・・。あれは確かに大変な経験であった。だが同時に、「ないならば作ればいい」という精神を得て、いかに普段自分が安易に「もの」を使っていたかを痛感させられた。
 また、教育において人や物とのかかわりを重視することも必要である。歴史に名を残す偉人のような人には、そのような教育を受けている人が多い。モーツァルトが5歳のときに始めて作曲したのはあまりにも有名だが、その背後には父親が当時4歳の彼にチェンバロを教えていたというものがあった。また、父親はその音楽に対する彼の才能を活かそうと、彼を幼い時代から演奏旅行へつれて歩き、多くの人と交流させた。私は、そういった父親の育て方が、たとえこれでもうけようという下心はあっただろうとしても、後年の彼のためになったのだと思う。だから、確かにこのような神童は滅多に表れないだろうが、普通の幼い子供でも、より多くのものや人と関わりを持たせることはよいことである。
 と、今まで色々書いてきたが、まぁ現代社会で生きていくためには既成のものをうまく活用するスキルももちろん必要であろう。だが「物は自然に存在しているのではなく、誰かが作り出したのである」のだ。私たちはこのことを忘れてはいないだろうか。少なくとも、キャンプ場に行って前述のような反応をする人は、私だけではないのが現代である。

   講評   kira

 ルフィくん、こんにちは。この作品が仕上がったということは、無事に今年度の締めくくりが完了したということですね。すばらしい高校に進学し、意識の高い仲間と切磋琢磨した一年間で、ルフィくんはますます思考の深さを身に付けていきましたね。
 物と人との乖離は、科学技術の進歩とともにやってきました。道具は本来、人間らしさを保証するものでした。二足歩行し考える力を持つようになった人間の象徴として道具はあったのです。ところが、その便利さだけが進化するとそれらの物はかえって人間としての力を喪失させるものになってきた。
 キャンプ場の体験はルフィくんにある感覚を呼び覚ましてくれたんだね。じつは、私は件数は少ないながら、サバイバルキャンプには自信があります。無人島体験もあります。人間生きることと隣り合わせになれば、大きな力が出ます。
 教育の仕方の勝利という点ではモーツァルトを挙げました。まさしく天才ですよね。今の時代にいわゆる天才が出てこないのは、今回のテーマのような原因が大きいのでしょうね。
 最近読んだ本の中に、携帯電話の便利さにひたっていると人間はサル化するという警鐘をならしたものがありました。パンツをはいたサルとうのがありましたが、今では携帯を持ったサルらしいです。便利さに自分の力を売らないように心したいものですね。
  

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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