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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   子どもたちは今   まなピー

 子どもたちの身体の異変は近年、いっそう顕著である。その変化をいくつか列挙すると、まず他者への無関心がある。他者への気配りがないわけではない。しかし、その気配りはすれ違っている。それは、大人に対しては根本的な不信の感情となって現れているのだ。大人と目と目を合わせて話しをする子どもが少なくなったし、語りかけてきても、ちらっと目を合わせると、すぐにまなざしを背けて話している。また、モノとの出会いの経験も、著しく貧困である。商品としての「もの」が氾濫する一方で、自然と連なるモノの世界は、ますます子どもの生活から消滅しつつある。言葉という道具においても同様の事情がある。「文字離れ」「活字離れ」はいまや決定的と言ってよいだろう。このような子どもたちの変化は芳しくない。私は、子どもに関心を呼び戻して気配りなどを教え、本来のあり方に戻すべきだと思う。
そのための方法として第一に、子どもたちに「つらさ」を体験させるべきだ。現代のハイテクな文化の中に産まれて、そして育った子どもたちは精神的に「痛い」思いをしたことがないだろう。「暑い」と言えばクーラーがあるし、「おなかすいた」と言えば手の届く範囲には必ず食べ物がある。衣食住に何ら問題はない。それに、コンピューターゲームを代表とする、家電玩具がウロウロ。家の中から一歩も出ない生活を送っていても、なんとも思わない子どもがいるのである。そんな子どもは、つらいこと・悲しいことを体験し他者への関心を持たせなければならない。私は、家庭科の授業で高齢者について学ぶ機会があった。「高齢者は、体が全体的に重くなり不自由な身なんですよ。」と先生はおっしゃった。そんなこと言われても、私はまだ高校生じゃないか。そんなもん、分かるもんか。次に先生はおっしゃった。「みんな高齢者になりきってつらさを味わってみましょう。」えっ?味わうの?私は、膝・肘・目・耳・足首に奇妙なサポーター(目はゴーグル)をつけて、校内一周旅行に出かけた。するとつまずく、つまずく。いつもなら感じない小さな段差さえ、つらくてつい「よっこいしょ。」と言ってしまった。私は、体験してみてやっとお年寄りのつらさを理解したし、これからは苦労してたら声かけてあげようと思ったのである。こんな風に、自分がつらい経験を味わうことで他者への愛情がこもるのである。
 第二の方法として、たくさんの人と関わらせることだ。学校というものはもちろん学習する場所ではあるが、ただ勉強するためだけの場所ではない。人間的に成長を遂げていく課程を生み出してくれる場所でもある。しかし、その学校で子どもたちの問題が深刻化しているなら、境遇の違う所へ言って生活してみてもいいと思う。以前の長文のなかで「日常の惰性的な生活のなかで閉ざされた私たちの心を、旅は開かれた、予感に満ちたものにする。」というものがあった。確かに、私たちはいつもの場所から離れて、別の新しい地へ行ったとき心をゼロにしてさまざまなものを吸収しようとする。そこで、モノと出会い新しい自分に出会っていくのだ。例えば、ハイキングに行くと山のすばらしさに圧倒され、自分なんてちっぽけな存在なんだなあということに気づく。といった風に、子どもも同じように旅に出て心を空っぽにし、関心を呼び戻すべきだ。
確かに、子どもも自分のことで精一杯で他人への気配りができなかったなら仕方ないし、モノとの出会いも今のハイテクな時代にあった機械があるわけだからそれを使えばいい。ある程度、世界の波は動いていてそれに沿って子どもたちも変化しているのである。しかし、
「子どもの問題は、波に乗ることではなく本人の意思があるかどうかである。」
というように、一番大切なことは子どもたちが生きる喜びを見出せるかどうかである。であるから、子供たちは多くのものに出会い、他人とコミュニケーションをとって彼らの生きる道を見つけていくべきだ。

   講評   huzi

春休みですね。落ち着いて進級テストの課題に取り組むことができました。字数もたっぷり、項目も全て◎。みごと合格です。ここ半年ぐらいの真菜さんの勢いには目を見張るものがありましたが、ここでしっかり結実しましたね。
  今回は、子ども達の世界を覆う無関心について、がっかりするような教室の光景が描かれた長文ですね。実際はどうなのかな……先生が見聞きした話によると、もう少しにぎやかなようです。もっとも、授業に集中しているからにぎやかとは限らないのですが。
  【当為の主題】は、「子どもに関心を呼び戻して気配りなどを教え、本来のあり方に戻すべき」で設定しましたね。長文の主題を踏まえた内容になっています。
  【方法】には、「辛さに耐える」「様々な人と関わる機会を持つ」を書いていますね。どちらも、豊かな生活が約束された現代の子供たちにとっては意外と難しいことですね。
 体験にもとづいた説明がいい。ハイテク機器に囲まれた子ども達は、新しい体験を快適な形で行いやすくなりました。しかし、辛い体験、悲しい体験はどんどん少なくなってしまっています。体験にあるように、お年寄りがどれほど苦労して日常生活を送っているかなどは、親身な気持ちになって考えられる子どもは少ないでしょう。ボタン一つで遊ぶことにすっかり慣れきっているのですから。※ところで、家電玩具がウロウロには笑いました(^_^;)
 また、たくさんの人や体験と関わることも大切ですね。学校に行くこともその一つだし、時には旅に出ることで生活は開かれ、新たな予感に満ちたものになります。この段落では【長文実例】も◎。
  本人の意思。最後の段落では、結論を子ども自身の意思に置いたね。意思を育てるための【方法】をしっかり論じたあとの大きな意見には、説得力があります。どんなに便利で快適な世の中になっても、結局はそれを動かす人間の意思が大切なのですね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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