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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   生と死   シュシュ

日進月歩の科学技術は、人間の手のひらにおさまりきらないくらいのものとなってしまったように私は感じる。「クローン」「遺伝子組替え」「臓器移植」などの言葉は、すでに人々に定着し、日々のニュースでも頻繁に話題にのぼっている。かつてはSF映画の中でしか考えることができなかったであろう人間の複製や、新しい生物の創造などが、現実となって私たちの日常生活に深く関わりつつあるのだ。特に臓器移植に関しては、ほぼ常識化しているといっても過言ではないだろう。一見それは寿命がのび、素晴らしいことのように思えてしまうが、ただその言葉だけで片付けることは絶対にできない問題のはずだ。私は、素直にこれらの技術をただうけいれている人々や社会に、激しく異議申立てをしたい。人間としての、「死」や「生」のかたちについて、もっと深く考えることが必要なのではないだろうか。
 そのための第一の方法は、人間がそれぞれもっている価値を探求しあい、それを尊重することだ。人間には体としての肉体的な価値よりも、ずっと大きな内面的な価値がそなわっている。しかも、それはぞれぞれ全員異なるものであり、人生を本当に豊かにしてくれるものだ。私という人間について考えてみる。文を書くことが好きであり、本を読むことも好きだ。洋楽が好きであり、絵を描くことも好きだ。英語を学ぶことが好きであり、友達と話したりあそんだりすることが好きだ。ほかにもとてもではないが書き切れない程のたくさんの事柄が頭に浮かぶ。そしてそれは全て、私しか考えることができないもので、確実に私の人生を彩ってくれているものなのだ。ただ生きることだけに関しては、別に読書も友達も必要はない。しかし、人として人生を愉しむ、味わうためには、それだけでは絶対に足りない。それぞれがもっている精神的なものが必要だ。そして、その自分にしかないものを活かすことができたならば、何年生きたかということはさほど大きな問題ではなくなってくると私は思うのだ。
 第二の方法は、教育の中で、答えを自分で考えて見つけ出すということの大切さを子供たちに教えてゆくことだ。日本の今の教育の上では、問題があり、答えがあるということが当たり前となっている。しかし、実際の生活の中にある問題は、答えが元からあるというものではない。答えが一つかさえもわからないし、自分が出した答えが正解だったかどうかだってなかなかわからないのだ。なかなかどころか、死んでもわからないものだってあるかもしれない。そんな不安定な世界で強く生きていくには、自分が思う正解へと自分を導いていく思考力と行動力が必要だと私は思う。数学だったら分からない問題があっても、解説を読んだり、先生に説明してもらえばいい。だが、自分の生きていく道には解答もないし先生もいない。わからなければ他の人に聞けばよい、などの受動的な姿勢では他人に流されていくだけのつまらない人生になってしまうだろう。
確かに、私たちのこの便利な生活はすべて科学技術の力によってつくられたものだ。それはまぎれもない事実である。しかし、このままただ先へ先へと開発していくことに、どんな意味があるのだろうか。その開発によって新たな問題や危険は生じないのだろうか。科学者でない私のような一般人だって、「臓器移植」「延命治療」などを、個人の問題としてうけとめ、生きている限り隣り合わせである「死」の意味を考えるべきだ。ただ手放しに科学の進歩を喜んでいるだけではいけない。そして私は、人類にとって究極の問題であろう不死身さえもが現実になりつつあるこの時代に、私の人生の最後に自然な「死」が訪れることを願いたい。そのときまでは、人としての生活をイキイキと楽しみたいのだ。

   講評   miri

<第1段落>現状説明が入った、じょうずな導入ができました。もし、書き出しをくふうするとしたら、新聞の見出しのようなセンセーショナルなものを使うとおもしろいでしょう。
<第2段落>まず、自分、個人というレベルでの探求。生きていることの価値や、意義を深くみつめています。論旨の展開も見事。
<第3段落>考えを社会へ広げてみました。ここで、具体的に2,3の例をあげるとさらによいですね。体験学習などの話がいいかな。
<第4段落>生きている間、十分充実した人生を送れれば、自然な死でもちろん満足ですね。たいへん問題を深く掘り下げて、内容の濃い作品ができましたね。
        

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