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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   時と言うものは   ルフィ

 時というものは、昔は「もの」と密接に関係していた。それは桜が咲く時であり、蛙が古池に飛び込むときの音であった。そして、同時にそれは生活に密着していた。生きていること事態が時であり、それは単位で割る必要のないものであった。人には、その人自身のみのときがあったのだ。だが現代では、時を一つの単位とし、生活から切り離してしまっている。これは問題だ、と私は主張する。
 そのための原因としてまず考えられるのは、生活様式の転換である。つまり、人の生活を中心として社会が形成されているのではなく、時間と言う単位を軸として世界が回っていると言うことだ。私が小学生のとき、「6時のチャイム」なるものがあった。それは、6時になると「早く帰りましょう」というアナウンスが流れるだけのものであったが、私たち小学生にとってこれは非情に嫌なものであった。なぜなら、遊ぶ時間が減るからだ。というのは、もしその非情な放送がなければ親に「気づかなかった」と、言えさえすれば完全な暗闇が訪れるまで遊べるためである(笑)つまり、このように小学生、と言う天真爛漫な時分ですら時間に生活が支配されていたのである。なので、私たちは小学生が遅くまで遊べるようにこの6時のチャイム制をなくすべきである・・・というのは流石に飛躍しすぎだが(笑)もっと、特に子供には、自身の生活に沿った時間の使わせ方をさせるのも必要だと思う。
 また、別の原因として近代に見られた工業化もあげられると思う。この工業化によって、管理社会が成立させられ、殊に時間においての効率化がどんどん進められていった。その結果、時間をまるで切り売りするかのように扱い、生活からどんどん乖離させていった。何処かで聞いたような話ではないか。そう、これと同じようなことがまさにミヒャエル=エンデの「モモ」と言う作品の中に書かれている。その本は、「時間泥棒」と言う人たちが、人間からどんどん時間を搾取していくのを「モモ」と呼ばれる少女が阻止するために様々な世界を回っていく、と言うものだ。話は結局ハッピーエンドで終わる。だが、現代の社会には「モモ」はいない。私たちは、「時間泥棒」に時間を奪われないよう警戒する必要があり、それにはこの「時間を効率的に使おう」というコピーに踊らされない必要がある。
 確かにある程度時間についての共通指標は必要である。各々が好き勝手「自分の時間」を定めていくと世界があまりに秩序立たないからである。「時間とは、それ自体が追うためにあるのではなく、私たちが行使するためにあるのだ。」だが、恥ずかしいことに今私は時間に追われている。それを克服できたときにもう一度、この言葉を胸はって言いたいと思う。

   講評   kira

ルフィくん、こんにちは。やはり「モモ」のお話が出てきたね。あの時間銀行の灰色の男達の姿は象徴的ですね。近代化というと、私たちは薔薇色の構図と思いますが、実際、その工業化、科学化、効率化のなかで、私たちは機械の部品のように扱われてきたのではないでしょうか。チャップリンの「モダンタイムス」で流れ作業の中に巻きこまれる主人公の姿そのものでしょう。
 現代の「豊かさ」は、技術進歩の結果であると同時に、多くの人々がそれぞれに役割を分担して、全体としての生産活動の効率を向上させることで実現されてきました。だからなんの面白さも、味もそっけもない時間になったんだろうね。
 6時のチャイムには私も郷愁のある思い出が・・・。チャイムといっしょに教頭先生の放送が流れるのです。「もう六時ですから、生徒の皆さんは・・・。」するとみんながいっせいにクスクス。「モウロクじじい、だって!」と。この毎度のお笑いのおかげで、なんとか温かみのある時間だったのかもしれません。
 しかし、私たちはこの時間の呪縛から逃れる手立てはないのだろうか。実際の社会で時間の制約に反発するのではなく、やはり意識の持ちようになりそうですね。自分の価値観、自分らしさを持って目標を見失わないことが大切でしょう。
  

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