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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   兼ね合い   たば星人

 先日塾から帰宅すると、母から「今日は早いわね。」と言われた。自分としては相当長い時間頑張ったはずだったのだが。これと同じようなことは誰しも経験したことがあるだろう。それは、本来時間が我々の人生がその上に展開する人類共通の座標ではなく、時のとらえ方感じ方は国もしくは人によって大きく異なるからだ。それなのに現代人は、時間を共通の概念として考えてそれにそって生きようとする。今日問題になっているのは、人々が時間に縛られ、それぞれの独自の時間を過ごせないことである。
 なぜ、人は人の作った時間にそって生きようとするのであろうか。その一つの原因は、時間という基準がなければ人を管理できないからだ。江戸時代までは、個人個人が畑に出て野良仕事をすれば良かったから、自分が基準の生活を送ればそれで十分であった。しかし、近代社会になって、個人個人が社会の歯車になるような時代が到来すると、それは出来なくなる。なぜなら、人が自分を基準に勝手な行動をすると連携がとれず組織が成り立たないからだ。時間という共通の物差しを作ってそれに人を従わせることで組織は人を管理することが出来る。例えば、学校という組織がある。時間割は決まっていて、生徒はそれに合わせて行動する。それぞれの生徒の気分に時間割を合わせるのは不可能だからだ。
 第二の理由は、時間という基準を設けることで評価がより容易になるからだ。どれだけ多くのことをどれだけ早く処理できるか。それを人の評価の基準として設定したことで、人は時間に縛られ、より早く行動しようとするようになった。その最たる例が試験である。そこでは、決まった時間制限の中で多くの問題を正確に解く力が試される。
 確かに、基準としての時間を創造することで人を評価し管理することは容易になった。しかし、現代はその行き過ぎによって人々は人間らしい生活を奪われ、時間に追われるようになっている。その様な生活に疲れた人々が社会から脱落してしまっては社会はより悪くなってしまうのではないだろうか。それでは元も子もない。社会がよりよい物になるためには、その根本である個々の人間が自分基準の時間を持つべきなのだ。「理想に到達するための手段はまた、理想への到達を阻む障害でもある」という名言があるが、その通りであって、要は共通の時間と自分基準の時間の兼ね合いを考えて生きていくことが大切なのではないだろうか。

   講評   kan

 こんにちは、たば星人くん。このところ難解な長文が続きますね。その難解な長文からいかにして自分自身の主張を打ち出していくかが鍵になります。何かを見聞きし感想を持ったとしても漠然と心の中で考えているだけでは確固たる主張には結びつきません。言葉にすることで初めて血肉になるものだと思います。どうか果敢にチャレンジしてほしいものです。
 <第一段落>社会問題の主題を「人々が時間に縛られ、それぞれの独自の時間を過ごせないことである」としてくれました。体験実例をもとに長文の内容を踏まえスムーズな流れで問題点を打ち出してくれましたね。集中して勉強する1時間とだらだら他のことを考えながら勉強する3時間とを単純に「時間」で比較することはできませんね。
 <第2段落>「時間という共通の物差しを作ってそれに人を従わせることで組織は人を管理することが出来る。」簡潔で鋭い指摘です。もしかしたら各人が野良仕事に精を出していた時代の日本は長文に登場したラオスの村のような時間のとらえ方をしていたかもしれませんね。
 <第3段落>試験に追われるたば星人くんのため息が聞こえてきそうですね。「どれだけ多くのことをどれだけ早く処理できるか」だけでは人の評価をすることは不可能なのですが、実際にこの方法が採用されているのはやはり一番容易だからでしょうね。この部分が第4段落の結びにもしっかりと続いていてよいです。
 <第4段落>第2、3段落の内容をしっかりと受け、たば星人くんの主張を展開することができました。「共通の時間と自分基準の時間の兼ね合いを考えて生きていくことが大切」とは、このまま名言として使えそうですね。いつもながら題名のセンスはさすがです。
★社会がよりよい物→社会がよりよいもの
    

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