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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   One for all. All for one.   あとえ

 私たちはたしかに大気や大地といつも交流し、交感し合っている。 大地の上を二本足で歩き、空気を吸って、つねに新陳代謝している。しかし私たちはそういう相互性を少しも自覚せず、キレイさっぱり忘れて行動している。というのも、私たちがそれだけ 大気や大地との関係を気にもとまらないほどに融け合わせているからである。つまり融け合うという形で相手と交流し合っていたのである。 私たちは、根本において、区別された個体としてではなく交わりとして存在している。意識や心理や認識はすべて個体の現象として扱える面があるのに、生命には個体をこえる拡がりがあるかのように感じられる。問題は生命なるものを日常的に問う観点が発見されず、日常用語で記述される生命がまだないことである。
 現代は、個人ではなく全体を見るという姿勢をとっているが、それがいきすぎてしまうと妙な全体主義がうまれ、個人が埋没するという問題がある。
 その対策として第一に、個々の主体を、すっかり充実しているものにするということだ。学校で自己アピールを書かされた。今持っている資格や、部活動、好きな教科、趣味、そして長所や短所など様々な質問があった。資格や部活動などはすらすらと記入することができたが、長所、短所の記入欄にはなかなか記入することができなかった。特に長所を考えるのは難しかった。「私はごく平均的で目立つところがないから困ったぁ。」と本気で悩んでいると友達があきれたように私に向かってこういった。「あんたみたいに、おかしくてそんなに明るい人はめったにおらんわよ。それやって長所やん。」目からウロコだった。ずっと自分は一般的な人間で何もないと思っていたからだ。人混みにおぼれかけていた私は友達のその言葉で岸にたどりついたような気がした。長所なんて何でも良い、自分だと思うものが長所なのだ。
 第二の対策として、個々の利益の追求が全体の利益になるような、資本主義の次をいく新しい体制をつくることだ。人間は利益を食べて生きていく動物だ。野心を心に抱く者、足を引っ張ってでも自分が成り上がろうとする者。汚いというかもしれないが、生きていく中では決してなくならないことだ。だから、結局みんな一緒というのは不可能なことなのだ。社会主義国が良い例だ。みんな平等では欲求は満たされず、人間は生きていくことはできない。だから、無理に統一しようとせず、どんどん利益を追求するようにすれば良い。しかしその利益追求が全体の利益になるようにしなければならない。私たちは資本主義ではなく、その上をいく、NEW資本主義を目指すべきである。
 確かに、個人主義にみられるような個人だけを見ていくことにはやはり弊害がある。しかし、才能は全体からではなく個人から見つけられるものであるように、全体を見つめるばかりでは個人の埋没を引き起こす危険性がある。だから、「一人はみんなのために、みんなは一人のために。」というような新しい体制をつくっていくべきである。

   講評   kira

 由希子ちゃん、こんにちは。今回のテーマはヨーロッパ「近代」が終わり、新しい近代の模索の時代が来たというものでした。
 このテーマでは、「近代」とは何かをとらえ、その問題点を述べる事ができるようにしておくといいね。近代とは、合理的な科学主義の時代であり、資本主義の発達した時代です。その問題点は、科学で解き明かせないものの存在を置き去りにした事、経済至上主義となったことでした。そのために幾層もの悪い現象が起こり、ポストモダンを見つけようという流れになっています。
 そこで全体でものごとをとらえるという立場が主張されるわけですが、その時に個人もしっかり充実しているべきだという論ですね。
 個人の充実ということで、自己アピールにふれたのはいいね。その具体例は長所にとどまらず、自分の自己実現の目標などにも踏み込んでいけるといいね。
 宗教や経済的成功といった大きな夢、物語、価値観が失われ、私たちは小さな物語を自ら描いていかなくてはならない。それが他人任せになったり、全体に沿うようなものになることが危険なのだと思います。
 私たちは個人を鍛えて全体を見ていかなくてはなりませんね。
 
 

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