対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

昨日3224 今日2655 合計58215
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   赤ちゃん言葉と文化   ノンキィ

 社会の中で子供をどう位置づけるかということが「赤ちゃん言葉」の発達の度合いを多様化させる。つまり赤ちゃん言葉の現象は文化によって左右され、母親が子供に対して使うような「母親語」は文化の違いを超えて普遍的である。よって、その違いはそれぞれの文化圏で育った子供の性格形成に大きな役割を果たしているといえる。
 小さいころ、車を見れば「ぶーぶー」といっていた。また、両親から「まんま食べる?」と幾度言われたことだろう。もちろん今はそんなことは言わないし、逆に私みたいな年齢の子供が「まんま食べたい。」とか「あっ、ぶーぶーや。」というような言葉を発していたら当然その人は周囲から奇妙な目で見られることだろう。(体験実例)そして、この「ぶーぶー」だとか「まんま」などといわれるものが俗に言う赤ちゃん語であり、母親語の一部分なのだ。この特徴的な二つの言語様式、これらはどうやら国によって、文化によってその形や価値を変えるようである。
 日本では先に挙げた例のように母親が子供に対して話すような言葉の中は必ず赤ちゃんの視点から見た段階の言葉を使っている。ここで母親語についての説明を入れておこうと思う。母親語とは母親が赤ちゃんに対して用いるようなパターンの言語様式である。つまり普段よりも少し声のトーンが上がり、抑揚が必要以上に誇張されているといったものだと思われる。たとえば日本では仲の善い親子の象徴として「川の字で寝る」というようなことがよく言われた。子供を真ん中に挟み、両隣に母親と父親が寝るケースである。ここから見てもわかるように、家族を構成するにあたっての日本人の考え方の根本には「子供中心」という意識が強い。だから赤ちゃん言葉にしても母親語にしても、子供の目線に大人がしゃがんで目線を合わせる、といった感じになるのだと思う。(複数の意見一)
 一方フランスやドイツなどの国々では、日本とは全く異なった考え方が根付いている。大人が子供に目線を合わせるのではなく、子供も一個人であると見て、子供の方が背伸びをして、時には踏み台を使って大人の言語様式に目線を合わせるのだ。したがって、もちろん赤ちゃん語も母親語もあるにはあるが非常にバリエーションは乏しく、また母親語と称される類の言語で用いられる語彙は大人に向けて話しているものに極めて近いという状況である。この傾向は日本と同様に、生活の仕方、特に寝るときの子供と大人の状態からも見て取れる。欧米諸国ではよほど小さい子供でなければ大人と子供の寝室は別になっている。子供を一人の人間として扱っている証拠である。(複数の意見二)
 これらの両極に存在する異なったものの考え方は背中合わせになっていて、片方の欠点がもう片方の長所となる。最近の日本では「子供が大人になったとき、親離れも子離れも出来ない」ということが問題になっているという。もともと一個人を確立してしまうことを「冷たい」と感じる傾向が日本にはある。けれど、そうして親子間でお互いに依存し、そこでしか存在しえない信頼関係や愛情の形を強く信じることによって大小さまざまな問題が生じていることは事実である。
 「政治は、軍隊と警察を必要とするが、軍隊と警察しか味方でない政府は、民衆の支持を得られない。」という名言がある。(名言の引用)親子間での信頼や愛情といったものは文化の枠を超えて大切にしなければならないものだ。けれど、他人の目を気にせず、自分たちの間だけの信頼関係や愛情に固執していては、社会からつまはじきにされてしまう。今、日本人に大切なことは、これらのことを客観視できる能力である。日本人は、親子というきわめて密接した関係の中で、いかに物事を客観視し、ゆがめないようにするかという能力を養っていくべきであろう。(総合化の主題)

   講評   nara

 今回はなかなかの高得点を取れたね。90点台がコンスタントに出せるようになると書いていても達成感が大きいだろうな。
 さて、電話でも少し話したけれど、この長文中の「母親語」というネーミングは、やや混乱を招く可能性があるね。もちろん、その定義も長文には示されているけれど、語の構造が「赤ちゃん語」と対になっている。「赤ちゃん語」はあくまでも語彙の問題だけれど、「母親語」は抑揚や声の大小・テンポなどがポイントだものね。長文に由来している言葉なので、ノンキィさんの作文を責めるのはかわいそうだけれど、「母親が乳幼児に対して話す口調」などと言い換えておく方が、よりわかりやすくなると思うよ。
 複数の意見については、言語表現だけでなく、生活スタイルにも同様のことが言えるとしたところがいい。どちらも同根なのだということだね。たまたま、「寝る」ということで題材を揃えられたけれど、他にもわかりやすい対照題材がないか、ノンキィさんも探してみるといい。お小遣い・アルバイトなどはどうだろう。
 「これらの両極端に存在する……」というところは鋭い指摘だね。この段落には日本の問題点が取り上げられているけれど、この論で言えば、欧米には欧米の問題点があるはずだ。そこにも触れておいて、その上で、「私たち日本人の問題点を解消するには……」というまとめの段落につなげていくといい。
 親子関係の問題が引き金となった悲しい事件を目にしない日はないくらいだね。どうすれば、客観視できるようになるのだろうか。その能力はどうやって養っていけばいい? それはどんな小さな一歩でもいいから、具体的な方策を提示できると、なおよろしい。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)